□月 ●日  No764 繁忙期


巷じゃ秋の足音も聞こえてきて
やれ運動会だとか中秋の名月とか色々言っているわけだが
こっちは笑ってはいられない。 今日は特に忙しい日なのだ。
何故かというと、人間の社員は子供の運動会などで全員欠席、妖怪たちはというと
盆休みの振り替えでこの時期、とかく休みラッシュなのだ。
この時期出社の人間は確実に貧乏くじを引く羽目となる。


普段の倍近くを回らないといけないので
かなり慌てる。 時間に遅れたくないのでありとあらゆる手段を講じて商品を
配達するわけだ。


香霖堂では私があまりにそわそわしているので、河屋にでも行きたいのかと言われる始末。
トイレ行く暇もないんだこんちくしょう。
あまりに埒があかないので最終手段を使う。天狗を雇って運んでもらうのだ。
ボスに予め根回しをして良かった。


このスピードまさに赤帽。 費用が掛かるが仕方ない。 
時速300kmは伊達じゃない。
天狗達は新聞を配るため幻想郷中を回る。そこに便乗すれば
ちょっとした荷物なら一緒に運んで貰える。
彼女たちも新聞発行費用が少し浮くとあって喜んで引き受けてくれる。
配達方法もまるで爆撃みたいなやり方だ。
そこは耐ショックのためのさまざまな工夫で切り抜ける。


幾つかの商品を鴉天狗に委託したら主要な客だけなんとしても回る。
どうしても時間が掛かる紅魔館は平静を装って対応。
他の場所は挨拶もほどほどに商品を置いていくやり方で対応する。


そして例の神社。
私があまりに慌てていたのを見かねたのか自称現人神が何故急いでいるのか尋ねてきた。
彼女になら外の世界の事情を話してもいいと思って、運動会で皆が休みとか
盆休みの振り替えの話をしたところ、いきなり腰が抜けたように座り込んで
そのまま泣きじゃくってしまった。 世話が焼ける。
そしてたちまちタイムロス。


会社に戻ったら自称現人神から謝りの伝言があった旨伝言をもらう。
外の世界のことをつい思い出してしまったらしい。
気持ちは分からなくもない。


どうにかモノを送り届けて戻ったのは深夜。
気の荒い妖怪に見つかったら食べられても文句が言えない時間帯だった。
よく生きて戻ってきたものだ。