妖怪退治に携わる者は基本的に強力な射撃装置を持っている。
威力こそ低いものの射撃速度や弾の物量は群を抜いている。
幻想郷が現代の姿になったとき、妖怪退治を確実なものとするために作られたものと言われる。
時間無制限の特別なスペルカードと思ってもらえば良い。
このカードの輸送には細心の注意が必要だ。
輸送はツーマンセルとなり、ケースも特別なものを利用する。
ふたりのコードが揃わない限り収納ケースが開かない仕組みとなっている。
さてこの射撃カードはとても特殊なカードだが
どうやってこれだけの射撃を行っているのか興味があるところだ。
朝倉の話では顕界でも利用されているMRSという技術が投入されているらしい。
MRSすなわちMagical Reload Systemは映画でよく見られる。
たとえば戦争帰りの軍人さんが弓矢を持っていたとする。
残弾二発だった矢が次のカットでは増えていると言った按配だ。
また、再装填しなくても放てる拳銃もMRSが利用されているらしい。
MRSはもともと月兎の兵器として利用されている技術で、質量を無視できるので
銃火器の大型化を図っても歩兵の負担が少ないらしい。
この技術によって小銃をまるでガドリングガンのように利用することもできる。
弾幕を貼って戦闘を膠着状態にするのもやりやすくなった。
ただ、MRSはコストが高いし、カードの寿命も短い。
氷妖精でも利用できる簡単さであるが、カードに相当の負荷がかかるようで
使ったら事実上使い捨てのような状態だ。
岡崎が使った武器では、ベクタートラップと呼ばれる弾丸格納システムと
それを送り出すマスドライブシステムに分かれているのだそうで
普通の発射機構を組み立てる仕組みとは一線を画するらしい。
さてMRSバージョン11が組み込まれたカードも博麗神社に届いた。
今度のカードは遠隔操作により通信相手のMRSのプログラムを転送し
スワップすることができるのだそうだ。
つまり妖怪が同行しなくても妖怪と同じ攻撃ができるわけだ。
自分もこんなカードがほしい。
朝倉はあまり嬉しいものじゃないと言う。
このカードはあくまで妖怪たちが安全圏にいながら人間を闘いに赴かせるためのものだそうだ。
どうやら自分の戦力不足を補う夢のカードではないようだ。
残念だ。