□月 ●日  No837 幻想郷で代用食


香霖堂へ米を納品。 普段はこんなことをしないのだが
珍しく香霖が風邪を引いたというので持ってきてやった。
仕方なくうちの会社の常備薬をくすねて渡してやった。
薬屋の薬でもよかったのだが、このタイミングで恩を売りたくなかった。


使える炊飯器を見つけたのでこれでご飯を炊こうとしたら
だめ出しを喰らった。白米にうどん粉と麦を混ぜろと言う。
麦を混ぜるのは脚気予防もあってわかるのだがうどん粉を混ぜるのは何故だろうか。


あとで上白沢に聞いたら所謂「代用食」というものだそうだ。
幻想郷では我々の会社で食料を運ばないといけないほど基本的に食料不足である。
もちろん少ない耕地面積をカバーするため、豊穣のカミたちが機能して
危険な状態にまではなっていないのだが、それでも食料は常に備蓄すべきと言う
考え方が身についているらしい。
もちろん顕界でも代用食は多く使われている。人工イクラや蟹蒲鉾、こんにゃくゼリー
代用食の一部だ。 もっともこれら食べ物はどちらかというと健康増進のためであって、
食べ物の量を増やすためではない。


香霖にそんな貧乏くさい食べ方をするものではないと話をしたら
咳をしながらも苦笑してもっと凄い食べ方をする奴がいると言われた。
例えば天狗。ダイエットのためと称して食べたつもりになるという術があるらしい。
しかし新聞が売れないと空腹を紛らわすための術に豹変してしまうらしい。


だがそんな天狗をも凌駕する奴が地下にいた。
それこそあのモデル体型の鬼女だ。
何と彼女はお酒が切れても水をお酒と思って飲めば酔えるらしい。
ここまで来ると凄いの一言だ。
もっとも彼女の場合もあの体型を維持するためにそうしたテクを身につけたらしい。
たとえばお酒をこぼさずに戦うというのも一つ。実は杯に入っていたのは水と聞いて
そうやって鬼は楽しんでいるようである。


香霖のご飯は味噌仕立てのおかゆになった。
炊飯器が壊れていてできたのがおかゆだったのですかさずお塩と野菜を入れて
そのまま蒸らしてみた。 本人が美味いと喜んでいたので結果オーライである。