□月 ●日  No866 彼岸で動員


閻魔様の執務室の掃除が終わっていないというので動員がかかる。
亡くなった人が増えてキャパオーバーに陥った結果掃除が後手後手に回っているらしい。


具体的に何をするかというと、閻魔様のお裁きには書記がついてくるのだが
こいつをファイルに纏めて梱包、保管庫に突っ込むのである。
また作成から一定期間経ったり、生まれ変わった等の理由で不要になった資料は
廃棄処分のために列車に積み込まれることになっている。


だいたいこの手の仕事は死神がやることになっている。
連中の怠慢ではない。単純にキャパオーバーなのだ。


ここ最近お裁きにかなり時間が掛っているらしい。 人間の寿命が長くなった結果
認知症などによる精神の死を迎えても生命を維持できるケースが増えている。
こうなると、閻魔様から裁きの内容を伝えても満足に伝わらないことが増えるのだ。
赤子のような頭脳にあなたは頭がはっきりした頃悪いことをしました。と言って通じるわけがない。
魂が光陰に移ったときの劣化現象と同じとして処理するしかない。


正直私はこの仕事を甘く見ていた。
会社の書類管理くらいの仕事だと思っていたらとんでもない。
パレットに書類を載せてフォークリフトで運ぶと誰が予想つくのだろう。
もっともフォークというか鬼力フォークだが。


とりあえずなんとか納めにかかったが列車のコンテナ数両分の書類はやっぱり壮観だ。
こいつを地霊殿に持って行ってペットたちの手で焼却処分されることになる。
なんでも燃やすときの種火に使うらしい。


どうにか人海戦術で夕方にはあらかたおわったがあとで腰にきてしまった。
鬼たちに鍛え方が足りないと馬鹿にされてしまった。