□月 ●日  No883 辻斬りマニアと話してみた


冥界のど真ん中にあると言われる白玉楼と呼ばれる建造物。
よほどのことが無い限りここには近づかないようにしている幻想郷ではトップクラスの危険地帯である。
たまたまであるが、ボスがここにいるお嬢様と面会するというので運転手役を買って出る。


最も私自身はここのお嬢様と直接会うわけではない。 
数度姿は見るし、美人であることは認めるがそれよりなお命が惜しい。
外で待ちぼうけしていたらよりによってお庭番に見つかる。
こいつも録に確認しないままに斬りつけてくるよく言えばうっかり者、悪く言えばただの辻斬りマニアだ。
そういえばこのお庭番と満足に話をしていないことに気づいた。
基本的にビジネスライクな会話しかしないからであるが、何も言わずに不法侵入者扱いで
斬られるよりは幾分ましと考えて、意を決して話をしてみることにした。


白玉楼のお嬢様の話をするといきなり地雷を踏みそうな雰囲気なので
とりあえず生活に密着した話をしたら割と食いついた。
料理と掃除テクニックに関して相当困っているようである。
料理のレパートリーについては幻想郷で自炊している経験がかなり生きている。


話を聞いて驚いたのだが彼女、刀の使い方をよく分かっているくせに包丁の使い方は自我流だと
いうことだ。 いやこういう包丁の使い方をしている奴を私は知っている。
魂魄だ。
このお庭番の料理センスは男料理そのものなのだ。
逆に私は主婦そのものと言われた。もうなんとでも言って欲しい。


そしてとうとう魂魄の話になった。
以前私は、彼と一緒にこのお庭番と会ったことがあるのだが
やはりその辺のことは当人も疑問に思っていたようだ。
私も詳しいことはよく分からないのだが、彼の性格は熟知しているので
その辺のエピソードを話したら感極まってしまったのかその場で泣き出してしまった。


ボスが戻ってきて女の子を泣かすとは何事だと怒られた。
事情を説明したら、それは感極まってではなくて情けなくて泣いているのだと教えられた。
何を話したのかは秘密だ。


ちなみにそのことを魂魄に話したら彼も号泣していた。
理由は、お庭番とかなり違う理由である。
一つ言えるのはお庭番のシュレッダー能力は顕界でも十分通用するということだ。