□月 ●日  No892 月人が珍しく


研修も終わって会社に出社したら、私の乗っていた列車で荒事があったらしい。
列車はリモートで運行されていたらしいが、ガラスは割れているわ、床は穴だらけだわ
探偵風の男の遺体はあるわ散々だったようだ。


もっと散々だったのは、チャーター便用の木箱が荒事で壊れたことだ。
お陰で積み荷のいくつかが自壊して、結構な損失が出た。
紅魔館用の荷物が吹っ飛ばなかっただけマシだが、例の神社の荷物が潰れてしまった。


木箱の中にアメリカカンザイシロアリがいたらしくて検疫部の連中が毒づきながら
殺虫剤を撒いていた。 臭いがきつすぎるのでいい加減にして欲しい奴だ。


今日、何故か綿月依姫が謝罪にきた。
跳ねっ返りの兎がおいたしたといった内容だったと思う。
穢れた兎は月で処理出来なかったので、こっちに押しつけようとしたようだ。
なんという巫山戯た話だろうか。
依姫が珍しく罪悪感に苛まれた表情をしていたのでこれ以上は追求しないことにした。


研修ははっきり言って先生の講話を聞くだけの代物だった。
割と話が面白かったので取りあえずラッキーだった。 
少なくても閻魔様のありがたい話を聞くより50倍はマシだ。


朝倉が珍しく私の体を気遣っていた。
一体何があったのかと思ったが、考えてみれば研修に行かなかったらあの荒事に巻き込まれていたということだ。
今回は幸運だったが心底ぞっとした。