□月 ●日  No911 薬屋の秘湯?


風の噂で薬屋が温泉を隠し持っていると聞く。
メトセラ娘との関わりもあるしそんな噂ももむべなるかなと思う。
無駄に盛り上がる男性メンバーを女性メンバーの醒めた目が突き刺さる。 実に怖い。


永遠亭のメンツが入るという温泉。 平均以上の外見をしている彼女たちを一目見られればと
皆が情報収集にやっきになっている。そんなことをやって何になるのかと思っていたら
なんと、偶然薬屋が管理している温泉の場所を知ってしまった。
なんてことはない。薬屋の連絡ボードに掲載されていた。
みんな隠されていると思い込んで単純なことに目が届いていなかったのだろう。


読めば湯治用の温泉のようである。場所はそれほど遠くないので、ブレザー兎に概要だけ聞いておく。
すると石鹼やへちまを届けてくれと言われた。もしかしてラッキーなのだろうか。
男としては期待せざるを得ないが、湯治用だから別に隠すものではないということかもしれない。
それにしてもブレザー兎の扁桃は傑作だった。 誰も温泉の場所を尋ねる者がいなかったのだ。
社内では温泉の場所予想で盛り上がっていたにも関わらずである。
如何に覗く気満々かよくわかる。


そのあとどうなったかって? ええ行きましたとも。
いたのはフランケンシュタインの親戚とじいさんばあさんばかりだった。
少なくても薬屋とか姫とか兎とかはいなかった。 いや、そういう雰囲気じゃなかった。
完全に治療用として特化された温泉だった。


働いている兎に自分は利用しないのかと尋ねたら、自分はそこまで病気じゃないと言われた。
彼女たちにとってはそういう認識なのだろう。
聞いてみてこっちが恥ずかしくなった。


薬屋に尋ねると外科手術を行った人たちの消毒などを兼ねた湯治用温泉とのこと。
たまに弾幕ごっこで怪我をした妖怪も入ることがあるそうで、その場合は無料で開放されているらしい。
当然のごとく痛々しい外見を見る羽目になるので何かを期待するのはお門違いというわけだ。


会社に戻ったらまだ温泉の場所はどこだと議論になっていた。
幻想を壊すのは行けないと思ってとりあえず彼らの話を聞き流すことにした。
彼らのあたまにあるもの、それこそ幻想の温泉なのかもしれない。 



たぶん。