□月 ●日  No976 永遠的ダイエット


永遠亭に重量物を届ける。 中身はエクササイズ器具。 注文した主はなんと薬屋である。
板の間に色々と置いてみる。 ホームランナーにクロストレーナー、乗馬までいろいろある。
冬場ろくに運動していないため体重が増えたらしい。


理論上ではメトセラ娘のように自殺すれば元の体型に戻れるはずである。
姫様の話に寄れば、月人の発想上一度死んで体型リセットは考えられないらしい。
一応はエクササイズ用の踊りがあるらしいのだが、あまりに面妖な踊りであるため
周辺住民から気味悪がられたという。
具体的な方法を聞いたが、両手を挙げてがに股でステップするとか、熱した鉄板を敷くとか
意味不明すぎるので頭のなかで聞き流すことにした。


姫様が早速道具を使い出した。 怪我でもしたら大変だとよくよく見ていたのだが
きちんと使いこなしているのでびっくりした。 イメージでは運動不足の権化だと思っていたので意外である。
ブレザー兎も普通に使いこなしていた。 彼女が普通に利用するのはあまり珍しくないだろう。


レーニング方法が人間と全く変わらないのには驚いた。
再生医療や月の科学力を使えば運動不足なんてすぐに開放されると思うのだがどうやらそうではないらしい。
重要なことは体を動かすという行動そのものであるというのである。


薬屋が帰ってきて早速試すことに。 ジャージ姿になった薬屋の姿は凄くシュールである。
きちんと色は普段着ている衣服に合わせているのだがやっぱりシュールだ。
詐欺師兎が何故か外で鉄板を用意していたがとりあえず無視することにする。


言えることは姫様は体力が思った以上にあり、薬屋はホームランナーを動かしてもすぐにへばるという事実だった。
これには驚きを隠しきれない。 ブレザー兎に言わせれば姫様はやっぱり地上で生まれただけに体力があるということだった。
結局、薬屋はわずか一時間くらいで試用は終了。
姫様はまだまだ余裕のようで筋トレ装置を動かしていた。 
一方一緒に納品したマッサージチェアに座ってしばらくのんびりしていた薬屋を見守って撤収した。


外で詐欺師兎が鉄板に火をくべていた。
上に乗ればダイエットできるよと言われたがこちらから願い下げである。