□月 ●日  No979 アフタークレーム報告


久々にバースト型のクレーマーに出会う。 幻想郷では極めて珍しいタイプである。
幻想郷の場合のクレーマーと言えば理路整然とくどくど言う奴が殆どだ。
妖怪たちの多くは年齢を重ねた結果、海千山千の強者ばかりである。 爆発するような文句が
却って自分を不利にすることをよく分かっているからである。


とりあえず話を聞くと、先日納品したばかりの商品がすぐに壊れてしまったらしい。
あまりに早く壊れたので欠陥品ではないかというのだ。 
こう言う事態の場合、うちの会社はとても面倒だ。 メーカー保証に逃げる事ができないからである。
場合によっては商品の交換で対応しないといけない。


当社のクレーム処理の流れを紹介すると、基本的に商品発注と同じ扱となる。
アフター依頼書というものがあって、そこに何時納品した物が壊れたのかを書き入れる仕組みとなっている。
この書類を事務方に綿して、アフターにかかる費用を算出するという仕組みである。
商品が持ち出し可能な物の場合は一度顕界に持って行ってメーカーに直接修理して貰ってから
もう一度幻想郷に返す場合もある。 この場合は割と楽である。


とりあえず、現場に急行して問題の商品をチェックしてみる。
使い方に問題は無いか、初期不良がないかを念入りに確認検討するのだ。
商品が電気系の場合はエラーコードをはき出させるのが有効だ。


途中クレーマー妖怪が、新しく交換してくれるとその場で確約しろと言ってきた。
あまりに高圧的に接するので、ホットラインで博麗の巫女を呼び出すか本気で考えてしまった。
もっとも巫女が行動したときにはぺんぺん草も生えないような酷い結末しか起こらないだろう。


結局のところ電源の入れ直しで元に戻ったようだ。
電源の入れ直しが有効な理由を教えようと思ったがやめておく。
原理を説明したって幻想郷の住民にはちんぷんかんぷんだろう。
こうした一連の対応に追われていると実はクレーム処理は顕界とほぼ変わらないのである。


大騒ぎした妖怪だったが、朝倉の名前をちらつかせたら黙ってしまった。
態度がわかりやすすぎると思う。
結果的に部品だけの交換で済んだのはよかった。
聞いてみる物だと改めて思う次第である。