□月 ●日  No1007 雲居さんと新型カード


会社に見慣れない女性がいる。
上品な淑女風の女で、幻想郷の住人かと思ったがそれにしては衣服類が常識の範疇である。
だが体つきは完全に運動をしている人のもの。 太ももの脚線は美鈴女史を思わせる。


とにかく言えるのはスラブ系の綺麗な人というのは見ていて目の保養となるってことだ。
きちんと運動していれば、体型が崩壊する心配もなくなおよろしい。


一体何しに来ているのかと軽く観察すると、朝倉から直接カードを手渡されていた。
先日開発された新型カードだろう。 弾幕だけではなく物体を直接制御できるという代物だ。
すでに灼熱妖怪の時にある程度の基礎理論は固まっていたから、今回初の実戦投入というところだろう。


朝倉に促され取り敢ず自己紹介をすることにする、彼女の名前は雲居一輪。
幻想郷にも顕界にも出没することができる境界型妖怪である。
確か霊能局の仕事も副業でやっていたと思う。 小兎姫から飛行機を落とすことができる妖怪がいると
聞いたことがある。 全長数十メートルの超巨大妖怪を従えているということで
顕界でも対空戦力として注目されていたらしい。


彼女が幻想郷でいろいろ行動を起こしたいというので、朝倉が久々に気合いを入れて
カード製造に当った次第。 暫く間に合わせのカードが多かったせいか
異常なほどに凝っている。 超巨大妖怪を制御するという荒技を入れたと入れたと言ってたが
どういう風な挙動をするのかは交戦時のお楽しみと言うことになった。
何か変な事をしていのかと一輪嬢は不安顔だったが。


私が言うのも何だがこういう時の朝倉はきちんと仕事をする。 
灼熱妖怪だって一歩間違えれば大事故になるものをきちんと制御していたからあまり心配していない。
博麗の巫女を地下に送り込むのだっていざとなったらボスがきちんと止めに入っていた筈だ。
つまり、最悪の事態は起らないということだ。


里香女史がやってきて、事故時の対応方法の話をする。
万が一のためのフェイルセーフというやつだ。 新しいカードをリリースするときは必ずやる。
超巨大妖怪はヨウ化銀の大量散布が有効だという話を聞いた。
降雨を促して、雲のサイズを減らしてしまうらしい。
ヨウ化銀弾幕化して撒くカードを渡して業務完了である。


しかし彼女、華やかな衣服を着せたらかなりいい線行っていると思うのは気のせいだろうか。
トーンを落とした衣服は幻想郷ではかなり珍しいタイプである。
おそらくは夜間戦闘用のコンバットスーツなのかも知れない。


別便で幻想郷で送って業務完了。
久々にまともな妖怪を見た。 うちの人間よりまともにみえたのは気のせいだと思いたい。