□月 ●日  No1010 弾幕に思う


会社で弾幕を避けるための講義を受ける。
基本的に会社で教わる避け方は遮蔽物に隠れ、様子をみつつ
スペルカードの効果時間終了まで粘ることに終始する。
もちろん反撃も不可能ではないが、カバーポジションからの射撃が基本的な戦術になるのだ。


しかし私に言わせればこのやり方は些か乱暴すぎるのではないかと思っている。


幻想郷においてトラブル解決によく使われる弾幕戦。 
その弾幕の姿は妖怪によって個性あふれた姿をしている。
一応うちの会社ではスペルカードで弾幕を放つ上の基本キットを渡しているが弾幕の挙動デザインは基本
使い手である本人がやることが基本である。


弾幕の動きをよく観察するとその妖怪の性格がよくわかる。
弾幕の動きの観察は自分が生き残る上で絶対必要なことだ。 遮蔽物の下に潜り込むにしても
弾幕の挙動を予め分からなければその前に動きを止められてあの世行きである。


その中で特筆すべきはやはり氷妖精の弾幕だろう。 
一見すると無茶苦茶な弾幕に見えるが彼女なりの合理的思考に基づいた
考えられた弾幕であることは明らかである。
実は彼女の弾幕は妖精に恐怖して逃げた者だけを捉えるように作っているのだ。


はっきり言うが氷妖精とて我々一般の人間にとっては脅威的存在である。
だが当人は必ずしもそうは思っていない。 本気で遊び相手が欲しいだけの場合もある。
だから彼女は試すのだろう。 
妖精に恐れおののき逃げるのか それとも自ら歩み寄るのか。
私の場合は業務だから歩み寄るしかないのだが。


弾幕に死角があるとしたらそれは意図したものと考えるべきだろう。
弾幕にしても死角を設ける必要など本来はないのである。
相手を倒すことを前提にするなら弾幕は直線的かつ広く高速なものを放つのが効果的だからだ。
だがそれをしないと言うことは、妖怪は弾幕戦を仕掛けているがその実自分を理解して欲しくて
仕方ないということである。


つまるところ、その妖怪の性格を理解して、意図した場所に移動することを避けるとするならば
弾幕を避けきった時、それはその妖怪の心や意図を理解した瞬間であると言える。
弾幕戦が終わるとあっという間に打ち解けて宴会を始めたりしてしまうのはその為だと思われる。


幻想郷で仕事をする上で悟ったのだが
弾幕は隠れてやり過ごすだけでは駄目だ。
観察して本人の意図を探さないと真の仕事ができないと思う。