□月 ●日  No1009 ダウザー鼠 帰還する


とある境界型妖怪をヘリでお出迎えする。 その娘は某アミューズメントパークに挑戦するようなシルエットの
ダウザー鼠であった。 言ったら絶対持ってる棒でどつかれること必至である。
もっとも彼女こそがオリジナルであるのだが。


その鼠型妖怪はいつも忙しい毎日を送っている。彼女の能力は捜し物をすること。
探す物は人間では手に負えないような困難なものばかりだ。
それはちょっとした物だったり、地下資源だったりする。
配下の鼠を軍隊のように制御することができ、地磁気と電磁波を感知しながら捜索することができる
天狗も一目置いた存在である。


それゆえ彼女のスケジュールは分刻み。 
そんな彼女が幻想郷に連れ戻されることになった。 キャンセル料は何故かうちの会社もちである。
とりあえず苦情には彼女の代理人が都合といって宥めているが、うちの会社と独占契約を結んだのではないかと
変なうわさ話まで取りだたされる始末だ。 
ぶっちゃけそれは無理である。 彼女を雇い続けるのは私数百人分くらいの人件費がかかるだろう。
それ位の価値はあると言える。


ダウザー鼠の輸送中、日頃の疲れがたまっているのか分からないが、なぜか列車内で栄養ドリンクを要求してきた。
今までにないタイプの妖怪だ。 チーズを口に運んで、一本結構いい値段するドリンクを一飲みしている。
昨日の睡眠時間が3時間しかなかったらしい。 ほどなくして耳をアイマスク代わりにして眠ってしまった。
ワーカホリック過ぎる。


幻想郷に行っても彼女の仕事は変わらないらしい。
彼女の探す物はよくわからないが、到着したらすぐに仕事だと言っていたから結構面倒なものなのだろう。
今回の輸送で、困ったのが彼女の端末である鼠の輸送方法だ。
お陰で一両がまるでハムスターの飼育場みたいになってしまった。
岡崎がなぜかハムスターに造詣が有ったお陰でどうにかこうにか形になった。
中にはひまわりのタネやら玩具やらたくさんのものが置いてあった。
人間より好待遇じゃないだろうか。


現地に到着すると、専用車両は糞尿の臭いに囲まれていた。
掃除撤収するこっちの身にもなって欲しいと思ったら客室だけ解体せずに保存することになっているらしい。
今回の一件が終わったらまた顕界での仕事が待っているのだそうだ。


彼女にとって幻想郷が安全で快適な場所でありますように。
それよりも、あのデストロイヤーたちに目を付けられないように気をつけて貰いたい物である。
恐らく無理だろうが。
身を守る為の新型スペルカードを彼女に渡した。
御礼に今度なくしものが有ったら無料で探してくれると約束してくれた。
今の会社にいて本当に良かった。


問題がある。
何を無くているのかまるで思い出せないと言うことだ。
なんともはやである。