□月 ●日  No1012 ダウザー鼠のミッション


阿礼乙女の書いた縁起の複写作業が続いている。
彼女の書いた記録はどうしてもペーパーメディアで書かれている関係で容易に失われるリスクがある。
そこで彼女が書いたそばから複写作業が同時進行で行われるのである。


ここで問題となるのがどれがオリジナルでどれが複製だと言うこと。
整理するのは係員とはいえ、ちょっとでも整理が遅れるとどんどん酷いことになる。
つい先日、河童が司書ロボットなるものを開発して、自動的に並べる機械を作ったが
初期の縁起は竹筒だたったのを考慮に入れなかったため、筒を持った途端煙を上げて壊れてしまった。


そこで今回秘密兵器を召喚することにした。
その名もダウザー鼠。 探すものは本だからかじられる心配はまずない。
初めて探す姿を見たのだが、誰が見ても軍隊の挙動である。
鼠にツーマンセルで捜索と指示して通るなんてどういう鼠なのだろう。


阿礼乙女によれば、ここの鼠は猫妖怪でも手こずる訓練された鼠らしい。
鼠の戦闘力は侮れない。 人海戦術で格上の敵をあっさり倒す。
天敵である鳥相手でも、場合によっては倒してしまうことすらある。


ダウザー鼠はダウジングと鼠たちによる人海戦術で捜し物をする。
鼠たちは簡単な文字の特性だけ記憶しておき、阿礼乙女の書を探していく。
おそるべきは鼠の認識率。 かなり正確で舌を巻く。
もちろん鼠たちはただの図形程度にしか思っていないだろうが。


ほどなくして捜し物は見つかったが、費用が嵩んで涙が出てきた。
阿礼乙女にかかった費用を話したら、払うのはあなたでしょと言われて泣きたくなった。
もっとも彼女にすぐ払えと言えるような額ではない。 
当面は相殺処理をしながら様子をみることになりそうだ。