□月 ●日  No1013 幻想郷で営業活動


別部署の同僚から幻想郷で生き延びるコツを尋ねられる。
個人的な見解だが、まずは妖怪たちに顔を覚えて貰うことが大切と言うことにしている。
特に強力な妖怪とのコネは重要だ。
たとえば、風見女史と仲良くなるだけで周囲に確実な威圧感を与えることが出来る。
問題はどうやって気に入って貰えるかということだが、朝倉が割と体育会系の発想の人だと言っていたので
大体見当はつく。


幻想郷で営業活動をするのは極めて重要なことだ。
私自身、暇なときに幻想郷を適当に巡回するが、これこそかなり重要だと考えている。
たとえば、幻想郷でうちの会社の商品を使ってくれと売り込んでくる商社さんがいるが、
いつも顔を出したり、サポートをきちんとやってくれたりすると「心情的にどうにかここの商品を使うようにしたい」
考えるようになるものだ。


はっきり言って商品は一般消費者から見れば特に特別これを使いたいという指定が無い限り、
どれを持って行っても同じ事ができれば誰も気にならない。
幻想郷においてはそれが特に顕著だ。 自称現人神に納品した家電商品が特定メーカーに集中していたりするが
そんなことは彼女たちにとってはあまり重要なことではない。 要は使えればいいのである。


特に幻想郷の妖怪たちは横の繋がりがとても希薄なだけに、営業活動は生還率に直結する。
相手が弾幕を放ってきても顔なじみだったらそれだけで弾幕がNormalからEasyに格下げして貰えるのだ。
もちろん格下げしても危険なものは危険だが、やられるリスクはかなり軽減されるだろう。


幻想郷巡回で一番重要なことは情報収集だ。 それもあちこちの情報を多元的に得ることが重要となる。
天狗は幻想郷の情報ソースとして重要な存在だが内容には一定のバイアスが罹っている
このバイアスの正体がわからないと幻想郷の正しい情報がわからない。
そして情報を得るためには顔見知りになる必要がある。 これも営業活動なくしては無理だと言うことだ。


よく、良い商品を売っていれば覚えて貰えると思う人が多くて困る。
はっきり言って日用品を買う側にとっては誰が売っても同じものの場合、売っている人を意識することは
殆ど無いと言っていい。 認識してもらわなければ評価対象にすらならないことを肝に銘じるべきだ。


よくボスがコネを重視しろと言うが幻想郷で生き延びることを考えるなら
コネを構築することが重要だと言うべきだろう。
たまにコネができていろいろ不便になるときがあるがそれはそれである。