□月 ●日  No1016 幻想遊郭


朝っぱらからレンコが私に猛抗議してきた。
どうやら薬屋のところに納品させたところ、丁度性病検査の真っ最中で遊郭に付き合わされたらしい。
外の世界の女があそこにいるのを知ったのだろう。 気持ちは分かるがそれにはきちんとした意味がある。


幻想郷で生活するには女一人では不可能だ。当然見受け人が必要となる。
幻想郷の遊郭と言っても、男を見つけて遊郭を出る所謂「年季明け」の確率は約8割になる。
遊郭に入っても一生遊郭というわけではない。 女は性の被搾取者ではないのである。
理由は単純、遊郭を餌場と考えている妖怪が結構いるからだ。
運悪く搾取しようとすれば逆に酷い目に遭うだろう。


幻想郷においても外の世界の女を幻想郷の男と一緒にするのは血が濃くなるのを防ぐのにとても有効だと考えている。
だから最近の妖怪は人間を食べないことにしたのだ。 幻想郷を維持するには住民の幻想が必要だから
殺すよりも寧ろ「飼った方がよい」と学習したわけだ。


そう言う話をしたらそれには納得しているが、本当に怒っている理由は別のところにあるらしい。
遊郭の言葉を話す少女がいたというのである。 まさか子供を遊郭に送っているのかというのだ。
身体的特徴を聞いたらたしかに現代風の外見はしているものの、こいつの正体は大体見当がついた。
おそらく顕界発の唐傘妖怪であろう。一説にはその妖怪は遊郭に起きっぱなしになった傘が妖怪化したと言われる。


あれは妖怪だから出入りしてもおかしくないと言ったら、薬屋がその妖怪相手にも性病検査をしていたと言っていた。
本気で頭が痛くなった。 アスピリンがあったらすぐに服用したい気分だ。
レンコが断固文句を言うべきだと言ったから薬屋に抗議すると次の答えが返ってきた。


最近はマンネリ対策に幼女化している妖怪がいるらしいとのこと。
一部の好事家に受けているらしい。 
薬屋に穢れはどうしたと尋ねたら、儲かるからいいと言われた。
これにはレンコも呆れた表情だった。 


疲れた表情をしているレンコに北白河が
幻想郷にもロリコンがいるそれだけのことよ と言っていた。
フォローになってないよと思った。