□月 ●日  No1017 ひどい自殺説得パターン


香霖といつものように談笑していたら珍しくヴィヴィットが香霖堂を尋ねてきた。
なんでも幻想郷で自殺志願者を見つけたというのである。
死ぬなと言いたいのだが、厳密に生きていないヴィヴィットととしては
どう説得していいか分からないらしい。


幻想郷には相も変わらず自殺志願者がやってくる。
妖怪の餌になったり、幻想郷の新しい血になったり 本当に自殺したりと
色々なバリエーションがある
面倒だが、本当にしなれると死神小町に突っ込まれそうだから現地に向かうことにする。
初めてヴィヴィットに抱えられて飛んだが、生きた心地がしない。 これはひどい


現地に着くとすでに首をつる準備をしていたので、ヴィヴィットに取り敢ず紐を切ってもらった。
文句を言う相手を制して、とりあえずヴィヴィットから電源をとった映像を見せる。
自殺後誰に食べられるかだ。 どうせ死ぬのなら予め予約を取っておいたほうがいい。
ヴィヴィットはご丁寧にどう食べられるか紹介ビデオまで用意している、
ここまで来ると馬鹿にされていると思うのか当然の如く凄い剣幕で怒られる。
こうなれば取り敢ずこの人は自殺しない。


当人が生きるのに疲れたとヴィヴィットに言っていたが、
「私は厳密には生きていないので分かりません」と答えていてずっこけた。
とりあえず居場所と状況説明に結構な時間を費やしたら
借金取りに追われなくていいならここにいてもいいと言い出した。
本気で頭が痛くなった。
もう面倒になったので人里まで送って放置することにする。


この人がどうなったのか、とりあえず上手くやってることは間違いない。
幻想郷というのは住み込みで働くなど意欲さえあればどうにか暮らすことはできる。
社会的保証の形でお金が貰えるわけではないが、働けるところがないわけではない。
むしろ幻想郷は万年人手不足だったりする。


今はとりあえずいいというところだが、彼らの生活は必ずしも順風満帆とはいかないだろう。
貯蓄しなければ薬屋にもいけない。
とりあえず今は経過観察だけである。