□月 ●日  No1071  日食で大騒ぎ


皆既日食である。巷ではこの脅威の天体ショーを一目見ようと色々やっているが
幻想郷の住人にとって洒落では済まされない事態が起る。
事前に分かっていてもちょっとしたパニックが起ることがほぼ間違いないからだ。


うちの社員も基本的に全員出社。暴動発生対策として全戦闘マシンが出勤となる。
里香女史の戦闘戦車。岡崎の幻想王コレジャナイカイザーなども対象である。


紅魔館ではノーレッジ女史がすでに日食発生を予期していたので大きな混乱は
見られないらしい。 しかし幻想郷が一時的に夜になるに伴い各地で
小競り合いが起る可能性は示唆していた。


例の神社では皆既日食について気になることを言っていた。
かつて我が国はとある予言者によって統治されていた時代があったらしいが
この皆既日食により能力のバランスが乱れて、結果的に予言者は殺され
別の予言者にすげ替えられたというのである。
このことから幻想郷でも同じような事態が起るのではないかと心配していた。
そこでおねえさんやケロちゃん帽の神様は何かしらの軽減措置を行うと言う。


香霖堂では万が一のことを考えて店じまい。
博麗の巫女になにか起らないように昼食会を開いて監視体制を強化することに。


かくして今日この日を迎えた。
空はどんよりとした曇天であった。
軽減措置はこのことを言うのかと納得した。
直接太陽が隠れるところを見せるよりは、見えないところで周辺が暗くなるだけのほうが
たしかにマシだという物だ。


だが、このことに納得しないのがヴァンパイアの主人である。
皆既日食で見られる光のリングを一目見ようと、メイド長を引き連れて天高く舞い上がった。
こうなると処置なしなので取り敢ず放置する。
いざとなったらメイド長が守ってくれるだろう。


香霖堂にいる博麗の巫女と霧雨のご息女。
案の定異変かと騒いでいたが、香霖が美味い具合に彼女たちを説き伏せたらしい。
とりあえず幻想郷の平和は守られそうな按配だ。


妖怪たちは突然やってきた夜に戸惑っていたがそれもすぐに収まった。
曇天の空模様のお陰で妖怪たちも暴れないで済んだようだ。
灼熱妖怪が騒ぐと思ったが、深く沈んでしまってあとで地霊殿の主人に回収された。
コレジャナイカイザーの出番はなかったが無いだけマシである。


そういえば、今回のおねえさんの大技。
顕界の天候にも少なからず影響を与えたはずだが
まあそれはそれであると思う。


ヴァンパイアの主人はと言うと、数分しか見られない天体ショーで満足して
帰って行った。 やっぱり太陽光の影響は逢ったみたいであちこち怪我したようだったが
本人は概ね満足だと答えた。