□月 ●日  No1026 廃品回収でひともうけ


少し前、幻想郷に流れ着いた産業廃棄物が金になるとして妖怪資本の某会社がうちの会社に相談を持ちかけてきた。
幻想郷に流れ着く様々な物の中にはレアメタルが隠されていることが多い。
それらを回収すれば一儲けできるという具合だ。 
たしかに香霖堂とかにある産業廃棄物を処理出来ればゴミは減るし、儲かるならそれで一石二鳥である。
簡単に解体できる物は河童達が回収するのだが、半導体の類は河童達にとってもゴミである。
これらを回収できれば大儲けといったところか。


幻想郷では循環社会が徹底されているが、外から来たものについては再利用の仕方が分からぬまま
廃棄されるケースが後を絶たない。 
特に困るのが電池の類で、廃液が土地を汚すと妖怪たちに迷惑がかかるというので扱に困っている。
そこで最近、自警団が妖怪退治のついでにそうした訳の分からないものを引き取る業務を始めた。
集めた奴は地霊殿に運んで最終的に焼却処分するのだという。
超高温ならどんなものが来ても問題ないという理屈だろうが、死体運び猫は死体の他にゴミを捨てていい物かと不安顔だ。


地霊殿の主人はこれを機会に幻想郷に恩を売っておこうと考えているようである。
そしてほどなくしてゴミの類がやってきた。
投入、爆発、ものすごい地響きで地霊殿は蜂の巣をつついたような大騒ぎである。
一体何を捨てているのかと様子を見に行くと、なんとガスボンベを捨てていた。
河童達の手に負えない物を捨てるってルールを甘く見ていた。


ボンベがあったと思ったら円筒状の筒も発見した。ゴミと化した爆弾だった。
これもいい感じで爆音を鳴らす。
肝心の灼熱妖怪は鳴り響く音が面白くて仕方ないらしく、きゃっきゃきゃっきゃと大騒ぎ。
だが爆発の衝撃でガラスが割れた地霊殿はもうメチャクチャだった。
割れていないガラスについてはフィルムを貼って対応したが
あまりの煩さに産廃処理はあっさり終了となってしまった。


そんなこんなで、幻想郷では異例の措置として、隙間妖怪の権限でゴミの引き渡しが認められることになった。
これで少しはよくなると皆が胸をなで下ろしたが、ほどなくしてこの会社がなくなってしまったらしい。
折角なので、これまでたまりに貯まった産廃を全部引き取って貰ったら供給過多で値段が暴落したためだった。
何事も過ぎたるは及ばざるが如しかもしれない。