□月 ●日  No1057 妖怪と政治の話


社内で署名活動。妖怪の利益を誘導する市民団体の奴である。
選挙が近くなるとこの人に入れてくれと言う動きもある。 
もちろん強制はされない。建前上だが。


顕界で活動する妖怪たちは、基本的に民主政治の何たるかを知っている。
政治で喧嘩をする方法を知っているということだ。
民主政治とは皆の妥協の産物であることを重々承知している。
それは幻想郷でも顕界でもそれは同様である。


幻想郷における最大の妥協点があるとすればスペルカードルールに他ならない。
これこそ幻想郷における政治活動の産物である。
単純なストレスのはけ口ではないということだ。
もし幻想郷が単なる強者の理論なら、妖精が格上の妖怪を倒す可能性があるカードルールの
存在意義はないのである。


妖怪たちは政治活動において何より現実主義による実効性を重んじる。
だからこそ妖怪たちは単純に人間世界に紛れるのではなく、
経済活動から政治活動に至るまで紛れ込むことを選択したと言える。


うちの会社には妖怪の社員用の法律相談所があっていつでも無料で相談できる。
そこでは妖怪たちの権利の主張方法から土地建物の取得ルール。
旦那が寿命でなくなった場合の相続など色々な局面から妖怪たちをバックアップする仕組みがある。


朝倉が幻想郷から顕界に移り住んで最初にびっくりしたのは
顕界での自分の身分だったという。
今までは自分を理解して貰うために色々活動しないといけなかったのだが
それが殆どしなくて良いところまで来ているのは日頃のロビー活動のたまものだと言っていた。


余談であるが、もちろん隠れ住んでいる妖怪もいるのだが
その妖怪がいざ自分の意見を通そうとしても駄目で幻想郷に行きたがるケースをよく見かける。
もっとも彼らがあっちに行ったところで、あそこの洗礼を受ける羽目となるのだが
それはそれである。