□月 ●日  No1075 山吹色の菓子


白玉楼で商品を納品していたら、比那名居の主人を発見。
我儘娘ではない。
適当に酒を飲み交わした後、千鳥足で帰宅。
横で話をかいつまんで聞いたが、半分くらいが世話話、娘の狼藉についての謝罪と
いったところである。
単なる謝罪ではなくて、山吹色のお菓子があるのがミソかも知れない。
お金を使わなそうに見える白玉楼だが、接待漬けのため資金があるにこしたことはないのだ。


一番困るのはやはり娘が白玉楼に直接謝罪しないことだろうと思う。
どっちも寿命が長いから気はとことん長いのだろうが、天界と冥界で軋轢があるのは
色々と問題である。


遣り取りをみるにつけ、やはり白玉楼の主人は政治家なのだと改めて認識する。
月兎を懐柔し、自分たちの価値観を植え付けて帰ってきただけある。
彼らを懐柔するのは並大抵のことではない。 


何日か経過してようやく我儘娘がやってきたので、とりあえず姿を隠して
事の成り行きを確かめてみる。
ここでも主人の政治活動能力を垣間見ることが出来た。
なんと先ほど貰った山吹色の菓子で別の食べものを買って娘にあげたのである。


その真意を確かめるために本人に直接確かめると
「貰ってしまったら後に引けなくなる」
「言葉だけの要請は信用できない」といって笑っていた。
相手は満足にものを持ってこなかったため、完全に自分達の勝利だいうのである。


ボスに言わせればそれこそ幻想郷のパワーバランスを制御する幽霊の智恵だと
述べていた。
彼女が冥界の管理者たる所以の一端が垣間見えた出来事だと思う。