北白河が珍しく頭を抱えている。
聞けば、幻想郷で立て続けに小規模異変が発生しているため物品搬送量が増えているという。
搬送量が増えると言うことはコストが増えると言うことだ。
当然のことなのだが、コストが掛かりすぎればその分利益が減る。 当たり前のことだ。
世の中、どうしてもカネである。 幻想郷でも顕界でも同じ。
幻想の世界だからと言ってもコストの問題からは開放されはしない。
魔法を使っても、何かしらの理力を用いたとしても費用がどこかで必ず掛かる。
異変はタイミング良く発生して貰わないと困るのだが、このところ幻想郷外での異変が
内部に波及することが増えており、制御が困難である。
自称現人神の件や地下の怨霊の件がそれにあたる。 怨霊の処理については結局
地霊殿ではどうすることもできず、霊能局や魔界のスタッフ総出で対処に当ったが
人件費を払ったのは結局うちであった。
かくしてコスト削減の方策を考えるため会議となった。
何処に無駄があってどのようにするか。
真っ先に挙がったのは幻想郷の食糧自給率向上である。 幸い例の神社がやってきたことで
より効率的に作物をつくることが出来るようになっている。
しかし、それだけでは駄目である。 実はここで問題となるのが食料の価格である。
食糧供給量を無計画に増やすと今度は食料価格が暴落して結果的に供給元が食べられなくなる。
こうして考えてみると幻想郷を維持するのはギリギリのバランスで成り立っていることが
よくわかる。
こちらの供給ペースを減らせば棲んでいる人たちの命まで奪いかねないのだから色々厳しい。
結局満足な結論が出ないまま時間だけが過ぎてしまった。
せめて外貨を稼ぐ手段があればと思うのだが、妖怪の生み出す財宝が人間に与える
影響を考えるとあまり考えたくないと思う。
たぶんこの会社にいる限り決して解決しない命題だと思う。