□月 ●日  No1096 兎の業務日誌

月の都の夏 当然ながらお盆なんて風習がないので休むことができない。
兎軍団が損した気分だと言うが貴様ら万年夏休みだろと思ってしまった。


いつものように納品していたら兎たちがなにやらノートにすらすらと物を書いている。
前時代的だなと思って見ていると、どうやらそれは日報のようだった。
その日起ったことを振り返ることでさらなる向上を目指すというのは顕界も月の都も
あまり変わらないということなのだろう。


レイアウトを見るとそれはまるで絵日記のようだった。
絵まで描かないといけないのかと驚く。
しかしもっと驚いたのは、兎たちがちょっと絵を描くと自動的に
絵が補完されて動きまで与えられたところだろう。


まさに月の技術恐るべしである。
頭の中で考えていることがそのまま絵となって現れるわけだ。
しかしそれはある程度の緻密さがないといけないらしい。
つまり普段から物事を細かく見るための訓練がいるというわけだ。
良くできていると感心することしきり。


しかし一つ問題があることに気づいた。
それは依姫の絵を描いている兎を見たときのこと。
まるで鬼のような形相にディフォルメされた依姫の絵を見て笑みをこぼしたら
なにを慌てたのか少女漫画もびっくりの長身美少女へぱっと姿を変えたではないか。
これには爆笑するしかなかった。
どうやら妄想もセットで具現化されるようである。


しかしこの絵日記最後はセンスが必要なようで、出来はどの兎とも
まちまちであった。 やっぱり最後にモノを言うのはセンスであるのは
顕界も月の都もあまり変わらないらしいようだった。