□月 ●日  No1150 竹林に住む未確認生命体


迷いの竹林にとどろく悲鳴。二次遭難の危機も孕みつつ入ってみた先には
一輪嬢と喚く兎の姿。しかし一輪嬢の様子がおかしい、体中傷だらけで
おまけに雲山の姿も見あたらない。
聞けば大ダメージを受けて一度退いているのだという。 
一体何があったと言うのだろう。


大師様一味は仏門に仕える身であるため、基本的に肉を食べることが許されていない。
しかしながら鳥肉と兎肉に関しては例外であるとされている。
理由は諸説あるが、特に妖怪たちにとって肉を食べることができないことは
彼らにとって致命傷になりかねない。
恐らく仏門に帰依する妖怪たちへの配慮なのではないかと思う。


話を戻す。暫く様子を見ていると朝倉から緊急通信が入り、至急ここから離れろと言う。
釈然としないまま、一輪嬢にその旨を話すと、今すぐそうしなさいと言われた。
迷いの竹林がそこまで危険な場所と考えられないのだが一体何があったのか。
そのとき、目の前に兎が迫っていた。 もちろんあの小動物の兎だ。
あり得ない高さで飛び上がると首筋めがけて飛んできた。
が次の瞬間、一輪嬢の蹴撃を受けて兎が吹っ飛んだではないか。
よく見ると、兎の口には血の跡がある。


通信はなおも続く、どうやらこの兎は永遠亭付近に住んでいる兎とは違う代物のようだ。
俗称キラーラビットと呼ばれる妖怪の一種である。
兎型妖怪と言われる存在と言えば詐欺師兎と ブレザー兎などが挙げられるが
こいつは知能がなく理屈が全く通らない。
逃げようとした真横で一部崩壊した雲山先生がこぶしを振り上げていた。
私はとにかく逃げる。 ひたすら逃げる。


逃げている眼前にナズ軍曹の姿を発見する。
気がつけば、足下に配下の鼠が出現していた。 
「目標 12時の方向」の叫びと共に兎一匹に対して無数の鼠が攻撃を加える。
その隙に乗じて、三人と数百匹はなんとか竹林を脱出した。


一輪嬢の治療を兼ねて薬屋のところでその話をしたところ。
この兎は外来種で自分も苦戦していたという詐欺師兎。
借りは返したというナズ軍曹の話共に今回の話は終了。
結局こちらで緊急で入荷した鳥肉で鍋大会とあいなった。


迷いの竹林は永遠亭のメンツすら知らない謎が隠されているようだ。
危ない危ない。