□月 ●日  No1265 立春と身体強化魔術の限界


立春らしい。会社に在籍するとリリーホワイトの観測報告が出るたび季節を感じるのだが
今回は命蓮寺でそれを見る羽目になった。
現在 マイナス1度 そこで春服になる大師様。 
無理しすぎだろうと思うのだが、修行のお陰で大丈夫なんだとムラサ船長に力説され
取りあえず納得する。裏でくしゅんくしゅんとやっているのは多分空耳ってことにしておこう。

さて、大師様が得意とする身体強化魔術は大半は元々衰えた身体を補うための魔法である。
朝倉が魔法の進歩について教えてくれたことがあったが それによると
一般的に身体強化と言われると筋力増強などのイメージがあるが、どちらかというと
身近な生活をする上で必要な動作を補う意味合いが強い。
たとえば、トイレで用を足す際の動きがそうだ。顕界では洋式トイレで大分足腰の負担が少ないが
幻想郷では和式トイレのポーズで用を足さないとならず、これが結構な負担となる。
一時は和式便器にかぶせるタイプの洋式便器導入も視野に入れたこともあった。


また幻想郷の建造物の特徴として段差がとても多いというのがある。
床の高さも顕界よりも高く、お年寄りには家に上がるのも一苦労である。
幻想郷一部地域では姥捨てルールが存在しているが、確かにこれら建造物はお年寄りに優しくない。
しかも重量物を運ぶことが多い幻想郷の住人は軟骨がつぶれていることも多く、
腰が曲がって動かない人も数多くいるのである。
こうした軟骨の再生魔術も最初期の魔法では存在していたと言われる。


このような魔術は所謂捨食の術登場までの過渡期に生まれた魔術と言われる。
近年ではバリアフリー関連の学術発展に伴い、これら魔術が見直される動きがある。
一部の魔術は再生医療に関係するものもあり、これらのノウハウを切り売りするだけで
莫大な金が入るのだという。
もちろん魔術をそのまま利用するわけには行かないが、全くのゼロから問題解決するより
それらを科学技術で代替えする方法を考えたほうが負担が少ないのは確かだそうだ。


というわけで、身体強化魔術を使っても基本的に寒さはどうにかなるわけではない。
ムラサ船長が言うように大師様の使う魔術で寒さが凌げるなんてことはない。
あるとすればそれは朝倉やノーレッジ女史の使う魔術の範疇である。


こちらが見ている手前きっと無理しているのだろうと考えたので
あとで誤配の振りをして風邪薬を送っておくようにした。 予算はたくさんあるので
多分ごまかせると思う。