□月 ●日  No1299 三月ですから


妖怪の服を委託している小さな会社の一つが資金繰りがつかなくなったとかで
事実上の廃業状態になった。3月はこういうことがあるから笑えない。
服を制作している職人さんが体調を崩したためで一度崩れたラインを元に戻すのは
難しかったようである。


幾ら幻想郷に商品を卸している会社とはいえ、顕界での商売で失敗すればつぶれるのは
当然である。 市場は常に移り変わるものだから仕方ない。
問題はこういう商品は、海外委託で製作させるわけにはいかない点にある。
材料などは細かく指定されており、国内で作るという謂われも同時に必要とされる。
コストの点を考えれば海外委託が良いのだが、それができないから高コストになりやすい。


とある会社が資金的に危なくなり一度手形が飛んだときは、材料をこちらで購入して
相殺させたこともある。完全にこちらが赤字だが緊急の場合は致し方ない。
幻想郷の妖怪によるペナルティの方が遙かに怖いからだ。


もちろん当社としても対策をとっていないわけではない。 
こういう情報には常にアンテナを立てているし、その会社にいた人材がスピンアウトして
会社を興したケースもあって、そう言う会社に支援したりすることもある。
また別ルートを構築することもあり、色々なやり方を試しているのが実情である。


もちろん幻想郷で自給できそうな商品の場合は河童達に依頼する場合もある。
原材料を当社で用意するやり方は実は非効率的でコストが無駄に掛かるのだが
幻想郷の技術水準を引き上げるために必要と判断された場合はそちらの手段が適用される。


今回は、前々から危ないと指摘されていたので別の会社からとることになったのだが
検疫部の連中が仕事が増えたと文句を言っている。
三月なので忙しいのだがこれも会社の風物詩なので諦めてくれと言うしかない。
こっちも大変なのだ。