□月 ●日  No1313 多々良小傘の商売


最近天気の移り変わりが早くて困る。 
河童が作った予報システムも当たるには当たるが、一日のうちに降ったりやんだりを
繰り返されたりすると中々迷惑である。
妖怪達もご多分に漏れず、移動中にずぶ濡れになって酷い目に遭う者が後を絶たない。


そこでだろうが最近、小傘嬢が雨避け用の自立飛行傘を妖怪に貸して
荒稼ぎしているらしい。
もともとは弾幕として利用していた傘だったが、手でもって無くて良いと言う
手軽さが受けて人気を博しているらしい。
ところが口コミで人気が出たせいか自立飛行傘の盗難が相次いでおり大変なようだ。
見れば判るが小傘嬢の傘はお金が掛かっているように見えるのである。


小傘嬢としてはどうにかして返して欲しいと思っているようだが
そもそも忘れられてなんぼの妖怪ではないだろうか。
忘れられない傘を用意したら自分を否定するようなものである。
そう言う意味では確かに彼女の能力はきちんと効いているといえる。
誠に不本意であるが。


小傘嬢は、貸した傘にGPS発信器を付けようと言い出した。
これだから外の世界からやってきて事情に明るい妖怪は嫌だ。
金はかかるが実効性がある方法を知っている。
単純な電波発信機を指向性アンテナで探すフォックステーリングって方法も
半ば幻想入りしているのでコスト的に有効かも知れないが。
幻想郷には奴がいる。


というわけでナズ軍曹に金を積んで探して貰うことに決定。
配下のネズミを用いた人海戦術にも対応でき。
見つけた先で不法占拠行為をしても<穏便に>返して貰える点も有り難い。
まあ、本人が穏便にと言っているのだから信用しようではないか。
今後も定期的にナズ軍曹が傘を探すという契約をとりつけて今日のところは終了。


人件費の方が高いのではないかという指摘もあるだろうが
これでも一応黒字である。
本当、顕界の妖怪は色々な意味でやりづらいと思う。