□月 ●日  No1314 人類の守護者


高慢でプライドが高いとされる月の民たち。少なくてもそう思われている彼らであるが
最近少々認識が変わっている。
それはふとした疑問がきっかけだった。彼らが本当に高慢な存在なら人類なんてとうの昔に滅ぼされているのではないかと。
それだけの力くらい彼らだって残っている。 主要国に爆弾を落とし地球生命ごと根こそぎ潰すことだって
不可能ではない。


もちろんそれは実行に移されることはない。それは穢れをまとうからだと思っているようだが実際はそうではない。
彼らはむしろ人類の保護者を自称している存在ではないかと思うのである。


簡単な事例を挙げよう。過去に挙げた綿月依姫は願掛けのカミ様で知られている。
実際スポーツ選手で彼女にお世話になった人は結構いるのではないだろうか。
朝倉が結婚したいと綿月依姫にお願いしたと言っていたので間違いはあるまい。
なお本人は「どの口が言うか」と言って苦笑していたことを記しておく。
何にびっくりしたって伝わっていることにびっくりした。


月の民の技術力があれば星間連絡船の製造も可能である。
生命の種子を外宇宙にばらまくことだって不可能ではない。
一応蔵ということになっている星蓮船も岡崎が開発したってことになっている
可能性空間移動船も根っこは同じ事がすでに判っている。
実際月には数百人が搭乗する重戦闘機があるらしく、戦闘機にドームがついたデザインに
なっているらしい。真偽は不明だがこれらは外敵から皆を守るためにあるのだという。
その発言に嘘があるとは思えないのだ。


蓬莱の薬が嫌われている理由も月兎の伝聞だがわかってきた。
意外と単純な理由である。 外宇宙の敵に渡ったら一貫の終わりだからである。
月兎のうわさ話だから信用に値しないと思うが、もし蓬莱の薬そのものが問題なら
メトセラ娘はもっと酷い目に遭っていると思われるのである。
仮に地上に幽閉しているってことになってもである。


月兎は隙間妖怪がすぐに降伏したのは謝ったら許して貰えるという確証があったからだと
言っていた。これも決して綿月姉妹が甘いのではないという。
隙間妖怪を始末することは後の憂いを排除する上では必要だったにもかかわらずである。
月の民が皆の保護者を自称しているとしたら確かに辻褄は合うだろう。


実際に会っている月の民は予想に反して物腰は穏やかで妖怪を相手にするよりは
ずっと気が楽な存在であることは間違いない。
一歩間違えれば平和ボケしそうなくらいだ。
それが本来の職場だと思ったら負けのような気がしたのでこれ以上は書かない。