□月 ●日  No1337 春雪異変を振り返る


今年の異常気象により食料品の価格が高騰、当然ながら幻想郷にも多大な影響が出ている。
救いとしては八百万のカミから事前に警告が出ており、かなり前から対処できることであるが
食料備蓄にも限界はあり、野菜類などは既に大赤字という状況である。


もし我々が居なければ幻想郷はたちどころに経済破綻と社会混乱に見舞われ、
人間と妖怪の信頼関係もあったものではない事態に直面することだろう。
人間も妖怪も霞を喰っては生きていけないからだ。


もちろん会社にノウハウが全くないわけではない。
似たような事例は割と最近にあった。 それは今では春雪異変と呼ばれる。
春になっても寒冷化が止まらず、農作物に大きな影響が出た。
この件では局地的な異常気象であったため、食料の大量のピストン輸送でカバーしたらしい。
顕界では一部地域で寒冷化が起こったものの大局では影響が少なかった。


と、表向きは何ともないように見えるこの春雪異変。
実体はそこまで平和的ではなかったらしく、食料不足からくる社会不安を押さえるために
炊き出しを行ったり、当時はまだ中間管理職狐が開けないと入れなかった幻想郷に
単独で進入できる列車を前倒しで開発させるべく、岡崎夢美を半ば拉致同然に会社に招いたりも
したようである。
一歩間違えれば社会不安どころの騒ぎではなかったのだ。


春雪異変の混乱はその後半年間くらい尾を引いており
被害も相当の額だった。 実は隙間妖怪がペナルティと称して後で白玉楼に請求書を送っているのだが
その額の大きさに今のお庭番は失神し、白玉楼の主人の食費が2割くらい削られたという話を聞いた。
それでも結構減額した額だったようだ。


春雪異変は被害総額という点においては幻想郷史上最大の異変だったのである。
ちなみに天人が起こした大地震はもともと博麗神社の移転計画に並行して局地的に起こったものだし
異常気象も春雪異変の反省から極めてミクロな被害で済むよう巧みに調整されていた。
この辺はきちんと地上を観察していた比那名居の娘の知恵である。


間欠泉の件や命蓮寺の件、非想天則の件は大黒字だったし、第二次月面戦争は沢山のお金を支払ったが
もたらされた技術が評価が困難なくらいの価値となりこちらも大黒字である。
この件から春雪異変が実にあちらこちらに影響を与えた最悪の異変だったと言えるだろう。
なにしろ博麗神社もこの異変の解決で妖怪から注目を浴びることとなり、隙間妖怪を引きずりだしたのだ。


では今年はどうなのか?今回は局地的な異変ではなく妖怪を退治すれば終わりではないので
大赤字を出しながら異変に対処している。
これまでの異変で出した利益がかなりのものだったので取り敢えず会社が傾くことはないが
それにしても迷惑な話である。