□月 ●日  No1336 魔法技術コミュニティ


最近幻想郷で、魔法研究専門のコミュニティが生まれつつあるらしい。
今までなかったのが不思議な位だったが、これまで個人制作された「グリモワール」こそ
存在していたものの今のように魔法研究をするコミュニティまで生まれたのは珍しいことである。


事の発端はあのネット転載天狗による外の世界の魔法使いコミュニティの紹介記事である。
予想以上に組織化しかも体系化されていることに幻想郷の住人たちは衝撃を受けた。
それにびっくりしたのは他ならぬ大師様だった。
魔法使いである彼女にとって、このようなコミュ二ティの存在はある意味カルチャーショック
だったようである。


外の世界の魔法使いといえば岡崎が有名ではあるのだが、彼女の場合は魔法と言うより
近代兵器を魔法のように行使しているだけに過ぎず、魔法と言っても語弊がある。
実は外の世界の魔法に関する技術はネットの普及により急速に発展しているらしい。


ここまで魔法に関する知識が流行っている実情を見れば、幻想郷の住人も黙ってはいられない。
このままでは魔法が幻想の技術ではなくなる危険性があるからだ。
大師様から外の世界の人はどれだけ魔法の知識を持っているのだと尋ねられたので
テレビゲームで用いられている知識を教えたら顔が真っ青になっていた。
魔法が大衆化していると解釈したのか。


かくして魔法使い同士の連絡網が直ちに構築された。
ノーレッジ女史や、エレン嬢、人形遣いのアリスなど錚々たるメンバーだ。
霧雨のご息女についてはコミュティから外された。
コミュにいれたら、彼女は本当の意味で実家に帰れなくなると人形遣いのアリスから
言われたからである。


集まって何をするのかと思ったら紅魔館に集まって単にお茶会で適当に駄弁り、
出されたお菓子をもりもり食べただけだったようだ。
エレン嬢の話では、洗濯物の話とクッキーの作り方で盛り上がったらしい。
確かにコミュティだが誰が見ても本来の趣旨から外れている。


朝倉にその話をしたら大笑いされた。
基本的に幻想郷の魔法使いは、皆自我流でそのノウハウから外れると
必要以上のエネルギーを使うからだと言われた。
もっとも効率の良い魔法制御技術の交換は起こるだろうからエレン女史に
書面でまとめるように伝えているらしい。


朝倉は参加しないのかと尋ねたら、野郎が居ないでしょと答えられた。
彼女は顕界の魔法使いコミュニティでちやほやされた方が満足らしい。
分かっちゃいたが直接言われると色々ため息しか出ないものだ。