□月 ●日  No1384 幻想郷と裏社会


久々に小兎姫と櫻崎コンビに会う。
ちょっとしたカーチェイスの後らしい。相変わらずやることが派手な人だなと思う。
発言内容と行動が一致していない。実際に行動を起こすと効果的ならどこまでも
大胆になるのが小兎姫の特長である。
そうでなければ潜入捜査なのに弾幕ごっこなんてやりはしない。


そんな彼女がちょっと与太話をしていた。
顕界に住む妖怪の中にも所謂勝ち組と呼ばれる存在はごまんといるらしい。
彼らは政治の世界に付け入って、自治体の首長のパトロンなどをやっていることが多い。
そんな妖怪達の存在を簡単に紹介してみる。


彼らの存在が有名になったのは所謂、反政府運動が盛んに行われた時の話。
当時軍事同盟を巡って、あっちこっちで小規模なテロが行われていて
政府や警察は手を焼いていた。
彼らを取り締まるには人手が足りないので、仕方なく彼らは霊能局を通じ
妖怪達に助けを請うた。


なにしろ彼らは法律上存在しないことになっているから、暴力沙汰をしても全く問題なかった。
妖怪達は自分たちが恐れられる存在になれると言うので喜んでこの申し出を引き受けた。
もちろん政(まつりごと)に手を出してはいけないと考える妖怪達は数多くいて
彼らはその後、顕界に見切りを付けて幻想郷に旅立つということもよくあったという。


取り締まりに参加した妖怪達は、その後生活保護を受けながら生活できるようになった。
働かなくてもとりあえず生活できる権利を得たのである。
裕福とは言わなくても実際そういった余裕のある妖怪は別の副業などをやって
お金を稼いでいたりする。 生活保護は収入があれば解除されるはずだが
彼らは解除されることはまったくない。 もっとも副業と言って登庁する場合も結構ある。
彼らは、公共工事を斡旋した見返りのお金を山分けするためにやってきているという。


成る程確かに彼らは妖怪である。 顕界では全く別の何かで語られているが
広義の妖怪であることは間違いない。 正体が人間かも知れないがここまで来れば
十分妖怪としての定義をクリアーしている。


今回追っているのも、そんな妖怪による非合法活動の取り締まりなのだとか。
そんなことが人間達に知られたら色々まずいと思うのだが、既にずぶずぶの関係だから
そうはならないと小兎姫談。
霊能局も仕事しているのだなあと思いつつ、会社のお菓子とか飲み物を持って行かれながら
二人のマシンガントークは幕を閉じたのだった。