□月 ●日  No1412 謎の装置


岡崎が会議室に色々機材を運び入れているのでお手伝いをする。
結構物々しい雰囲気なので一体何に使うのかと尋ねると、魔力検知計だと
言われて更に訳が分からなくなる。


疑問が解けたのは社内の通達メールを見てからのこと。
所謂中途採用者向けの計数テストが開かれるからだった。
私も何度かやらされているが、要は商品が幾らで入って、廃棄や不良品が
これだけ出れば、粗利益がどれだけ出るかという奴である。
粗利益というのは売価から原価を引いたとりあえずの儲けと考えれば良い。
そこから経費やらを引けば経常利益となる。


妖怪達に商品を売ると言っても八雲商事は会社だから当然利益を得ないと
ならないわけで、足りない場合は妖怪資本からのバックアップを使うが
バックアップはたとえば原価のプレミアムで賄われているので
結局はきちんと利益を得ないとならない。


さて、この機械は魔力検知計らしい。
岡崎が魔力を検知するために作ったシステムを高精度化、指向性を高めた
ものだという。 
このテストは妖怪も人間と平等に行われる。
妖怪は年の功があるのだからこの程度は出来て当然と思うかも知れないが
彼らは結構だらだら一日を暮らしているので、満足に計算問題ができない
なんてことも良くあるのだ。


計数管理を教えているのは何故か岡崎である。 
法研究も何だかんだいって数学だと主張する岡崎だが
妖怪達が思いの外数学で苦労している事実には苦笑しているようだ。
知恵熱で頭がパンクしている冴月あたりを見ていると特にそうだと思う。
これでは灼熱妖怪とあまり変わらない。


勿体ぶって機械の使い方を説明しなかったがこれはカンニング防止装置なのだという。
当然妖怪達は人外の力でどうにか他の人の解答を覗いてやろうと思うそうだが
こいつがあればそれがばれるというのだ。
中々素晴らしい発明であると思うと共に妖怪も人間とあまり変わらない事実に
思わず吹き出しそうになった。


魂魄が運び込まれた機材を苦々しく見ている。
朝倉は余裕の表情である。
まあ大体これで何が起こっているのか想像つくというものだ。
うちの会社も色々大変である。