□月 ●日  No1420 幻想郷に住まう怪人


最近妖怪に対する接し方に緊張感が無い奴が増えて困る。
それだけ平和になったとも言えるが妖怪達の正体をある程度理解して
おかないと、要らぬところで危険を招く場合がある。


その中でも特に気をつけたいのは大量殺人をやってる妖怪達の処遇だ。
紅魔館みたいにある程度の社会性を持っており、幻想郷で一定の地位にいるならまだ良いのだが
そうでもない危険妖怪もやはり存在している。


今日見たのはこんな奴だ。
髭を剃ると言って首を切り、被害者の肉を店に出すという天才理髪師だ。
幻想郷住民に対しては腕の良い理髪店職人で通っているだけに始末が悪い。
身寄りがなかったり外の世界の住民だと分かると、言葉巧みに
髭を剃ると言って首を切るそうだ。
肉は自動的に精肉処理が施されて主に妖怪相手に振る舞われるのだという。


朝倉の話によればこいつはヨーロッパで流行った怪人がそのまま妖怪化したものらしい。
こういう殺人鬼が流行った時期があったというのだからたまらない話だ。


私も危うくこの理髪店に殺されるところだった。 
一応会社で要注意と言われていたのもある。
首を切られそうになった瞬間、耳元で「有罪」という通信が入ってのち
冴月が送還銃片手に乗り込んできた。
この妖怪は問答無用で顕界に送り届けられたという。
こんな殺人妖怪を顕界に送ったらそれこそ大迷惑だと思うわけだが。


実は送られた先には警察が待ち構えていて直ぐに逮捕される流れになっているらしい。
法的には幻想郷に居る間は運営上海外逃亡しているものと見なされて、
時効制度が適用されず、人間の法律で裁かれるのだという。
この手の妖怪には確実に終身刑が言い渡されるケースが多いらしい。


妖怪が逮捕されて実態と生態が色々と取りだたされると
妖怪は力を失ってしまう。 幻想がもたらす正体不明の力が奪われて
ただの人間のようになってしまう。、こうなった妖怪は刑務所に入っても
永い時間生きることができない。 数年も経つと自然消滅してしまうという。


この妖怪もご多分に漏れず結局、顕界へと送りつけられたというが
数時間後には早くも逮捕のニュースが流れていたのにはびっくりした。
取り敢えず危機は脱したが、どうせ首斬られても冥界で回収すれば大丈夫でしょうと冴月に言われたのは
思わず閉口した。