□月 ●日  No1443 小柄な女の子


私の家の近くにコンビニエンスストアがあるのだが
底の店員の女の子が、ムラサ船長に似ていると言うことで岡崎と北白河たちとで
ちょっとした話題になっている。


似ていると言っても体型とか、身長とか顔の感じが似ているってことで
髪型も違うし、色々違うのだが私も一瞬勘違いしたのだからまあ似ていると
言えば似ているというところか。


この日、コンビニで岡崎と会う。 お昼時なのでたまたまだろうが
コンビニ内に置いてある、農家の直売スペース目当てだと思われる。
相変わらずノーブラで衣服だけ薄いのだが、何故か卑猥に見えないのは色々問題だ。
北白河みたいにもう少し化粧っ気をつけても良いと思う。
彼女は少々行き過ぎだが。


適当に挨拶を済ませて、トマトを購入。
いざレジに移動しようとしたそのときである。
「万引きだ」という叫びと共に店内は緊張に包まれた。


逃げる万引き犯。 こんなところで万引きとはグッド度胸、もとい良い度胸と
思いつつも、ペイントボールを投げるべくカウンター奥に手を伸ばす。
だが、ムラサ嬢(仮称)の動きが素早い。


そこから先は自分の想像を超えた内容だった。
彼女はカードを取り出すと、そこからペイント弾数発が犯人の衣服と後頭部めがけて
襲いかかったのだ。 
あまりの光景に岡崎が呆気にとられている。
わたしも唖然としている。


後頭部を強打した犯人はそのままひっくり返って
御用となった。 
お手柄店員さんって問題ではない。 何故ここでカードを用いたのかが気になる。
ここは顕界だ。幻想郷と違う。


店長さんを呼んでこれは一体どういう事だと尋ねる。
単刀直入に彼女は人間ではないのではないかと尋ねるとあっさりとそれを認めて
こちらも思わずあきれかえった。
妖怪の不法就労は霊能局の連中が黙ってないぞと口から出任せを言ったが
「お前のところだって、妖怪が働いているのだからお互い様だ」と言われた。


考えてみたら八雲商事社宅の近くで長い間店を構えているのだから
妖怪が店を訪れたりするのも割と当然なのかも知れない。
釈然としないが、黄昏酒場みたいなところだと考えたら色々納得できたので
このまま店を後にした。 実に奥が深い。