□月 ●日  No1459 八雲商事カウンセラーの手記


八雲商事カウンセリング室 幻想郷の文化や風俗そして妖怪達にショックを受けた人たちが
治療に現れる場所である。
私はそこのドクター。 近代的な投薬治療から呪術的な治療までこなすのでここに厄介になっている。


今日の患者は、「サトリ」から心を読まれてしまいPTSDの初期症状に見舞われている男。
カウンセリングから状況を推察しているが事態はあまり良くない。
サトリに心を読まれた者は自分が封じている心的外傷も抉られるケースが多い。
それらに対する反応を食べている妖怪だから当然のことだ。


聞けばこの男は精神遮蔽を怠っていたようだ。
精神遮蔽には八雲商事製三式精神遮蔽装置と霊能局製二式精神遮蔽装置が有効と言われている。
アメリカでは紅い全身タイツを穿いた磁力を操る妖怪が頭に鉛のヘルメットを被って
サトリの精神攻撃を防いだという記録もある。
いずれにしてもこれらの防衛策を講じないでサトリと接触するなんて自殺行為と言える。


患者については投薬治療を行っているが、それにしてもサトリに精神遮蔽なしとは上司にも監督責任
あるのではないかと思われる。
そこで患者に聞いたら、同僚が精神遮蔽なしでサトリと接触しているという。
恐らく体質的に精神攻撃に耐性がある人間なのだろう。 
しかし、マニュアルに従って貰わなければ関係のない人間が今回のような事になりかねない。
今回だって労災認定はほぼ決定なのだ。


本人を呼び出し叱りつけた後、話を聞いた。
どうやってサトリの精神攻撃に対応しているのか気になったからだ。
人間であってもPSIを持ってるタイプの人間かも知れないと思ったがどうやらそれは違うと言うことも
明らかになってきた。


すると本人はこう言った、どうせ読まれるのですから洗いざらい読ませたままのほうが良いと。
それは一理ある。 しかし、心を読まれた後で精神攻撃を受けたらどうするのだと尋ねたら
サトリはそんなことをしないと言われた。
彼が精神的にダメージを受けた理由が分からなくなり、しばらく思案にふけた、


答えを教えたのは盟友でもある朝倉理香子の言葉だった。
患者は重度のロリコンだったらしい、 勤務中に某サイトで小5ロリとどうこうとネットで
書き込んでおり処分を受けていた。
小5ロリがサトリのアナグラムだと分かったとき色々なことに合点がいった。
とりあえず労災認定申請を取り消すことから始めたのだった。