□月 ●日  No1462 放生会


放生会。 大師様がやってきてからは仏教に関する儀式も行われるようになっており
今回の放生会もその中の一つ。 
要は捉えた動物類を自然に帰すというものである。


大師様はこの件の所以を、妖怪を助けたために恩返しを受けたと信じており、
このイベントもかなり大がかりにやると言って聞かなかったのだが、
いかんせん初めてのイベントだったためか準備不足が否めない。
一体何を捕らえて放すか そもそも捕らえるときに怪我などさせて
弱った後に放したら結局偽善行為に他ならないのではないかと言われている。


妖怪の中にもこのイベントはあまり快く思われていない。
そもそも、生き物を捕らえたのならきちんと食べることが供養ではないかという。
見返りを期待して生き物を放すのなら最初から捕らえるべきではないと言うわけだ。


結局この件は明羅女史に全てが委ねられることになった。
雑務が得意である上に、いざとなったらお互いの利害を損ねない程度に問題を
解決することができるからである。


そこで明羅女史が目を付けたのは阿礼乙女の家に侵入しようとして罠に嵌って
捕らわれた妖精達だった。
基本的にデストラップに巻き込まれなければ妖精達は基本無事なのでこれは
良い手立てではある。


妖精達はこのアイデアに喜んで、放生会の日に悪戯すれば直ぐに放して貰えると
勝手に思ったようだ。 捕らわれた妖精は結構な数になっている。
今日中に放して貰えると思っているから普段より人数が多いというのがお礼乙女の談。


ここで妖精達は大事なことを忘れていた。
これはあくまで仏教のセレモニーである。
すなわちただ返すわけではない、仏教のセレモニーである以上説法があるのだ。
それもとても長い。


妖精達もさすがに普段の方がマシと言っていた。
後悔先に立たずである。