□月 ●日  No1464 非実在人物


小町ではないのだが死神の姉ちゃんがおいおい泣いているのを見て思わずハンカチを差し出してみる。
聞けば、ある人物の命運が尽きたと言うことで命を奪いに行ったところ迎撃されてしまったらしい。
よく天人たちの件でこのような話を聞いたことがあるが、実は顕界にも似たようなことはあるらしい。
この場合、妖怪のSPがいて死神を迎撃してしまうと言う話を聞いたことがある。


一体誰かと尋ねたら大物政治家の名前が出てきて思わず絶句する。 
そういえば何時までも亡霊のように生き続けている妖怪みたいな人物がいるのを思い出す。
さぞや強力な妖怪が護っているのかと尋ねたら、そういう人物はすでに妖怪になっていて
自前で死神をたたきつぶしているのだという。 世も末だ。


死んでないといえば、帳簿の上で死んでない非実在人物についてとりあげないといけない。
ここで言うところの非実在人物とは、ぶっちゃけ私のように顕界に住んでいながら
幻想郷でも活動しているが故に、死後の世界も往き来して生きているのか死んでいるのか色々怪しい人を指す。
もちろん私は意識の上では生きているという実感があるのだが、こうも地獄やら冥界やら見ていれば
自分が生きているのではなく本当は死んでいて帳簿上生きているだけの存在になっているのではないかと
疑いたくもなる。


特に幻想郷に居れば死体は速やかに燃やしておくべしが基本だ。
復活されたらたまったものじゃないからだ。 特に相続などが終わってほっと一安心のところに
何かの拍子で復活されてしまう事すらある。


幻想郷からやってきた顕界の人そういう事情もあって人が亡くなっても下手に埋葬できなかったり
死亡届を出せないでいる者もいる。
法的に死んでしまうと本格的に社会保障がなくなってしまうからだ。


だから一応戸籍の上では死んでないことにするのは寧ろ当然のことだ。
ただ、実際のところはあの手の非実在人物はその正体の大半が妖怪だったりする。
身元調査されると色々困るので、最近は基本台帳の改ざんなどを通して年齢のリセットをしているらしい。
税金泥棒と思うかも知れないが、永い寿命を得たら自ずとそうなるというのが
妖怪達の意見だ。


最近政府も死神たちと連携を取って本当に死んでいる人と、妖怪などの理由によって生きていることになっている
人との仕分けを厳密化する方向で調整しているらしい。
それにしても死神たちが民政員の格好をしているのは思わず吹き出したくなる。
最近の妖怪を取り巻く環境もなかなか世知辛いと言わざるを得ない。