□月 ●日  No1471 就職活動をする人へ


ここ、八雲商事に今年も沢山の履歴書が届いている。
就職難というのは分かるのだが、本当にここがどんなことをやっているのかってのは漏れ伝わっている筈なのに
状況を鑑みない履歴書が大量に届いているのには思わず嘆息するしかない。
気持ちは分かるのだがもうちょっと精査した方がいいのではと思う時がある。


正直な話をすると、幻想郷は割と人手不足である。
しかし、大量の履歴書の前に選定するのにもリソースを奪われてしまうと言うのが本音のようだ。
人を雇う側にしても博打である。
それでもうちの会社は割とマシだと朝倉に言われた。
八雲商事の人事部にはサイコメトラーとかいう人種というか妖怪がいて
履歴書に残った思念を読み取ることが出来る連中がいる。
量産的に履歴書を書いている人はここで直ぐに落ちる。


意外と強いのは異業種にいた人だ。 
あまりに会社を転々としている人は大問題だが、ある程度年齢が行っている人は
会社に骨を埋める覚悟が出来ている人が多いという。
これは何か困難に当たったときの地力となって現れる。


学生レベルの所謂スキルは概ね役に立たない場合が多い。
変にスキルがあって、それで稼いでいる人は最初からそれで稼げばいいだろうと思ってしまう。
妖怪相手にスキル自慢をしても鼻で笑われるだけだ。 そんなことよりも重要なことは熱意だったりする。
もちろんスキルを身につけるのは一朝一夕では出来ないし、それなりに努力しているのは分かるのだが
それで会社に貢献となると結構違う物が求められることが多い。 それはチームワークとか色々だ。


特に八雲商事の場合スタンドプレイが一番嫌われるのである。
私の場合でも、妖怪と会話するのにも通信状態をオンにして常時録音監視状態を維持して貰う。
これが妖怪相手の場合だと命綱になる。 
下手な対応をしようものなら言葉に組み行って精神攻撃を試みる妖怪も居るのだ。
だからあくまで必要なのは目的意識を共有できる熱い人ってことになる。


ちなみに妖怪を雇用する場合は純粋にスキルも要求されるようだ。
妖怪は永く生きているが故に人格的な問題は概ね問題ないことが多いのだが
顕界に通用するスキルを持ってるかというと難しいようだ。
きょうび妖怪もパソコンのひとつ扱えないといけないと聞いたときは妖怪も大変なんだなと思ったものだ。


というわけで、今日も人事部から大量の封筒を郵便局に持って行っている。
不採用のため履歴書を返信するためだ。 
余談だが、妖怪だけがわかる臭いをすかしの代わりに入れると
別の会社の妖怪から、おたくのところで出した履歴書がうちできているって噂を耳にする。


就職活動する人は大変だけど頑張って欲しい物だと思う。