□月 ●日  No1480 がんへっど


河童達が里香女史の戦車を改良するんだと色々検討している。
空を飛ぶ技術により質量問題があまりないためか、幻想郷ではしばしば変な物が作られる。 
この前は、鵺が飛ばすUFOに戦車の砲身を取り付けるなどと言うアホな企画を通そうとしていた。
結局本当に作ったが飛ぶことはなかったようだ。 幾ら重量問題がなくても逆さまに付けていれば
きちんと利用できないのは当たり前だったのだろうが。


里香女史の戦車も最近の機種は何故か足がついている。
「スタンディングモード」と叫ぶと立ち上がる仕組みだそうだが、メリットがあるとは思えない。
砲身固定のための台座モードとは違うようだ。なにせ移動しながら砲台を発射するのだから。
移動が自由になるというメリットも一応あるが、それなら素直に空を飛ばした方が良いだろう。
そっちのほうが燃費は犠牲になっても作りはシンプルになりはしないか。


そんな話をしたところで、河童達は聞いてくれないことは分かっている。
彼女たちはロマンチストだ。恋だって兵器開発だってなんでもロマンで動く。
幻想郷だから赦される思考だが、巻き込まれる方はたまったもんじゃない。


新しいコクピットの企画書を見せて貰う。
身体をバネで縛り付けるシステムが書いてあって絶句する。
その中で動くと戦車の動きに直結するというのだが、そんなものの意味があるとは思えない。
きょうび画像解析で動かすとか色々やり方があると思う。
それより里香女史が女性で一応人間であることを忘れているのではないかと思う。
河童は操作が複雑になったので反省したと言っているが絶対反省していない。


採用会議になって当然事態は紛糾した。 当然だ。大半の部品を顕界で作るのだが
これらを幻想郷に運ぶ為に何に偽装するのか、理由をどうするのか考えていなかった。
こんなあからさまな代物は重量制限的も厳しいと言っても河童達は譲らない。


里香女史は机を叩いた。明羅女史に「アレを」と言うと持ってきたのはキュウリ1箱。
キュウリで技術者のこだわりなんてどうにかできるのかって思ったが、1箱渡すと思ったら
なかの一本渡すだけで技術者はあっさり黙ったのだった。
ちょっとまてやと思ったのは言うまでもない。