□月 ●日  No1479 妖精じゃねえよ


忘れられちゃ困るのだが、一応うちの会社は幻想郷に物資を運ぶ為にある会社だ。
一応主な取扱商品は殆ど日用品に限られる。たまにやばいものも運ぶがそれは殆ど身内向けだ。


だが今日の注文はひと味違う。 腕を探してくれというものだ。
最近博麗神社に居座っている仙人からの注文である。期限は特に指定がなく、しかも費用も糸目を付けないという。
ここでいう糸目を付けないというのは吹っかけられるという意味じゃなくて、大体においてお金がありませんって
意味だったりする。つまりはただ働き確定だと言うことだ。


しかもこの仙人娘。どうも閻魔様と負けず劣らず口うるさそうでとても始末が悪い。
出来るならさっさと依頼を片付けて終わりにしたいところなのだが、何を持って終わりにしたいのか分からない。
そもそもアームということになると、顕界ならヴィヴィットやルーコトで採用されているロボットアームが
挙げられるだろう。 しかし、生物の一部に取り付けるとなるとしばしば脱臼してしまう。
重量もあるのでこれは仕方ない部分である。


幻想入りしていそうで便利な腕はないのか?
一応産業用ロボットの腕も見てみたのだがいまいちしっくり来ない。
第一これらの腕は幻想入りしていない。
とりあえず腕のキーワードであれこれ調べると、最終的に玩具メーカーに辿り着いた。
確かにこれなら幻想入りしてもおかしくない腕である。 もっとも腕と言うより玩具であるが。


取り寄せ確認して幻想郷に送るところまでは順調。
ところが、厠を借りる際に置いておいた商品を博麗の巫女達に盗まれた。
奉納したものだと勘違いされたようだ。 すると博麗の巫女達はこの腕を河童の腕と言い出して
本気でずっこけた。


結局博麗の巫女がこの腕についての責任を取ってくれたのは言うまでもない。
小言はほぼ30分強続き、結果的に私が渡さないで良かったと言わざるを得ない。
それにしても一体腕をどうするつもりなのだろう。
興味は尽きない。