最近コンプライアンスの維持なるものが流行っているらしい。
要するに法令や社会的理念の遵守という奴だ。
小兎姫が最近そういうものが流行っているから気をつけろと言う。
労務環境の改善が必要だという訳なのだが、なかなかすぐにどうこうとするのは難しいだろう。
企業という物はどうしても利益を生まないといけないから、基本的に労働力を安く買いたたかないとならない。
つまるところコンプライアンスの維持を厳密に行うことで何処かがババを引くことになる。
恐らく保護対象ではない妖怪達にしわ寄せが来ることになるだろうが、そんなことが理念的に
出来るわけがない。 もちろん出来るようにするための業務改善は行うことになるだろう。
小兎姫の話では旧地獄あたりが危険地域に認定されているらしい。
あそこ、そんなに危険だったのかと今更ながら思う。 特に重装備で臨んでいるわけではない。
精神遮蔽装備は少々整えているものの、朝倉の話では、基本的に厚顔無恥でマイウェイな奴には
効かないらしい。自分がそうなのかについては考えたくない。
だから旧地獄近辺の法界に大師様を置くのはとても合理的な発想だったが、
大師様にマインドコントロールされた御霊もいるという話を聞いたこともある。
いずれにしてもそれほど気にしていなかったし、別に体調が悪くなるわけでもなかったから
あまり深くは考えてない。
それを聞いた小兎姫は頭を抱えてなんてこったと呻いていた。
霊能局では旧地獄に入るのも許可制だとか色々言われたが、まあ私自身健康体だし
心を読む妖怪ごときにいちいち心を動かされても仕方ないし、
病原菌を管理する妖怪とはたまに昼飯を食うので別に問題はあるまい。
個人的には旧地獄なんかよりも、紅魔館とか夢幻館とかのほうが数千倍は危険である。
実は香霖堂も違う意味で危険だ。香霖は安全危険問わず適当に店に運んでくるからだ。
プラスチック爆弾や地雷でも幻想入りしていれば取りあえず持ってくる。
妖怪退治の武器だといって不発弾を持ってくるのが彼だ。
そっちのほうが幾ら命があっても足りない。
小兎姫から仕事環境に不満がないかと尋ねられたが、不満がないわけではないが
少なくても基準は見直した方がいいと言っておいた。
妖怪は基本攻略法さえ見いだせばそれほど怖くないというのが私の個人的感想である。