□月 ●日  No1509 岡崎銀玉を語る


たまの休み、コンビニに雑誌を買いに行くべく覗いてみると、岡崎がいつもの格好で
一人分のサンドイッチやらおにぎりを買い来ていた。
北白河は何処へ行ったと尋ねると、パチンコの新装開店に朝から出ているのだという。
一応統計を取っており、黒字で済んでいるらしい。
負けてきたらすぐに帰宅するのだという。


岡崎にパチンコに行かないかと尋ねると、頭の中に構造が浮かんで来て
儲からないと判断してやめてしまうらしい。
実は一度だけ行ってすぐに大当たりを出したのだと言うのだが、
本人は意図されたビギナーズラックだと言い張っている。


なんでもパチンコ業界は妖怪達に一度荒らされたらしい。
妖怪達の力で弾の軌道がねじ曲げられ、大当たりが頻発したらしい。
彼らも商売である。このようなことになるとひとたまりもない上に
一般客の設定を厳しくしないとならなくなり客が逃げてしまうという。
こうしたやり方で潰されたパチンコ屋も数多くあるらしい。


業界も妖怪達のこうしたゴト行為に対して対策を取っていたらしい。
たとえば妖怪避けの御札を貼ってみたり、妖怪の種類が特定できるときは
その妖怪が苦手としている物を置いてみたりと涙ぐましい努力を
重ねていたという。 


彼らを助けたのは警察だったのは面白い現象である。
妖怪を取り締まりたいという警察の思惑と妖怪の被害に苦しんでいるパチンコ業界の利害は一致し
妖怪に弄られにくいコンピューターを使ったデジパチ式にしたのだという。
機械的ギミックが幻想入りしたのが妖怪達の所業と聞いてなんとも
複雑な気持ちにならざるを得ない。


岡崎としては、趣味の範囲で嵌るのは結構だが、節度は守って欲しいと言いたいようだ。
せめて、朝ご飯だけでもという彼女の言い分が妙に切実だったのは言うまでもない。