□月 ●日  No1514 幻想リサイクルシステム


会社の連中みんなで河童達が作った幻想郷古紙再生プラントを視察。
香霖は外の世界で紙の使用量が減ったから幻想郷に物資が増えたと思っているようだが
物資が不足しがちな幻想郷で、安定して紙を手に入れることは大きな懸案だった。
紙の使用量を減らす動きがあっても紙のニーズはそこかしこにあるのだ。


何故顕界にあるような古紙再生システムを幻想郷に作る羽目になったのか。
そもそも紙を作るためにはパルプが必要で、パルプを作るためには森林を伐採しないといけない。
森林にも当然の如く妖怪は住んでおり、彼らの生活の場は少しづつだが奪われている。
そんなさなか幻想郷が大口の紙消費場所になっては色々と問題なのだ。


古紙を集めるのは難しいのかというと幻想郷の場合そうでもなかったりする。
天狗の新聞のあまりを改修するだけでも結構な実績を稼ぐことが可能だ。
これは幻想郷にシュレッダーがないということが大きい。
シュレッダーで細かく砕くと、中の繊維も細かく砕かれてしまい
古紙再生が困難になる。


シュレッダーがないというより無くとも住んでいるのは
個人情報保護とか情報を防御という概念が幻想郷にはまだまだ少ないため
紙を細かく砕くことにメリットを感じないからだ。


といっても幻想郷の場合は古紙再生に一つ顕界にはない工程を加えないといけない。
それは謂われの浄化処理だ。 厄神様が編み出したテクノロジにより
一度謂われを吸着して焼却する機構がある。
この処理をしないと一度妖怪の依り代になったような紙を再生したため
処理された妖怪が復活という事態になりかねないのだ。


さて紙の再生というのは紙を薬品で溶かして再度固める工程が必要となる。
もし再生された妖怪が実体化したらどうなるのかと河童に尋ねてみたら。
それは知らない方が身のためと言われた。
精神的嫌悪感が酷くて、幻想郷にありながら異形と言っても良い代物だという。


それを聞いたらとてもじゃないけど聞きたくなくなった。
ああ、スライムのようになるのよ。と空気を読まずに解説した朝倉は本気で外道だと思った。