□月 ●日  No1593 みんなの夢


永遠亭にいるブレザー兎から謎の依頼が舞い込んできた。
依頼はと言うと、堀コタツの固定枠の取り外しだった。
ネジの部分だけ外しておいてもう一度固定枠を戻す。
そんな他愛のない仕事である。これをやったらコタツが外れてすきま風が
相当冷たいと思うのだが。これで良いと言われてとりあえず放置していた。


これが一体どういう意味をしていたのかそのときは分からなかったのだが
その理由がはっきりした。いや、姫様がやりやがったと言って良いかもしれない。


私が最初にこの話を聞いたのは里の人間のうわさ話だった。
四角い飛行物体が飛んでいるという話である。
UFOまで飛来した幻想郷で今更だと思いつつ、色々すっ飛ばし命蓮寺の前で
何時ものように掃除をしている鵺にお前の仕業かと尋ねたら
きょとんとした顔で知らないと言われた。


そのときはまさか永遠亭のあの件だと思っても居なかった。
鵺と話をしているその真上で飛んでいる飛行物体を見るまでは。
下から見た感じではまるでフライングお鍋といった感じ。
しかしこのシルエットはちょっと見覚えがある。
外枠は黒く光っているが、金属の光沢ではない。


職場に戻って休憩室のコタツに入りながら同僚と話をしてはっとした。
あの四角い物体は掘りごたつの底面だったのである。
通常堀コタツは底面に断熱材を敷き込んでいる。床下の風を防ぐためだ。
つまりあのコタツの中身は。 


鵺に先の飛行物体の行き先を尋ねると確かに永遠亭の方向だった。
多分間違いない。
そして永遠亭に到着した我々が見た物は。
タツを元に戻せなくなって薬屋に小言を言われる姫様の姿だった。


姫様が一体何をやったのかは概ね見当は付く。
鵺が横でこの手があったかとメモを取っていたのが印象深い。
タツは修理され、また固定されたが幻想郷は概ね平和である。