□月 ●日  No1595 単純作業


鏡開きと言うことで木槌が大量搬入。 妖怪の馬鹿力のせいで毎回木槌は使い捨てである。
うちの会社はというと、魂魄がうちの部署にある沢山の鏡餅を壊している。
最近は鏡餅パックを用いていて色々便利だが、八雲商事の鏡餅はきちんと作った物なので
しっかりカビが入っており、まずそれを取ることから始めないといけない。
手間が掛かって仕方ないのである。


これは幻想郷とて同じ事だが、幻想郷の場合有る程度カミが可視化されているので
年神様が撤退したら鏡餅を開くのが普通のパターンだ。
もっと力がある妖怪なら素手でざっくり割るが実際はなかなか上手くいかない物で
何度も叩いて破片が床に落ちて勿体ない事になったりもする。


大変なのは白玉楼だろう。後で食べるためとしか思えないほど鏡餅を沢山置いている。
キルゾーン同然の年神様が降りてきているとはとうてい思えないのはご愛敬。
すると、問題となるのが今の御庭番の腕力ではとてもとても鏡開き出来ないという事実である。


刀で切りたいという誘惑に耐えつつ、弾幕を使うという誘惑に耐えつつも
とにかく鏡餅を叩いているらしい。結局直ぐに追いつかなくなって応援を呼ぶことになる。
かといってうちの魂魄を呼ぶわけにもいかない。一応幽居しているってことになっているのだ。


だから魂魄が、ひたすら八雲商事の鏡開きを行い、我々はひたすら白玉楼の鏡開きを
手伝うことになっている。 概ね人海戦術でひたすらがつがつと叩いている様子は
とてもシュールである。


開いた鏡餅は外にある特設の釜で醤油仕込みのお雑煮となり、我々にも振る舞われるのだが
我々が食べても体積にして三分の一しか減っていないこのお雑煮を誰が食べるのかについては
基本的に誰も答えてはいけない事実である。


ちなみに戻った後に北白河や浅間達がつくったお汁粉が振る舞われるのだが
白玉楼でペースを乱した奴は概ね負け組である。