□月 ●日  No1809 インターンシップは幻想入りしたんや


巷ではインターンシップというのが流行っているらしい。
本来は体験入社を通して自分の理想と会社の現実のギャップを埋めるのが目的だが
メリーやレンコ達の話ではその制度を悪用して体験入社した人をほぼ無給でこき使い
結局入社させないという労働基準監督署仕事しろと言わんばかりの悪行がまかり通っているという。


ふたりは妖怪の力で何とかならないかと言うが、そういう会社は黙っていても到底長続きしないと
答えることにしている。人間を大切にしないところはある程度の大きさになったときに確実に
裏切りに遭うからである。もちろん受け売りだ。


ちなみにうちの会社でもインターンシップをやった時期はあった。
十分な給料を払って、きちんと休日を取らせた。 まあここまではよい。
しかし結局失敗した。肝心要の幻想郷行きの仕事がどうしても任せられないのだ。
当然だ。一応は秘密になっているのだから。


そんなことだから、うちの会社で出勤してそのまま帰らない社員がいるらしいという噂が立つまで
そう時間はかからなかった。会社の中に空港があるとは思うまい。現地で寝泊まりしているから
実はけっこうゆったりしている事実は知られない。


それでも気味悪がせるには充分らしい。おかげで妖怪達の何匹は体が軽いと言っていたとか。
結局ここの会社は、社員を24時間以上働かせるという根も葉もない噂が立ったため
インターンシップはわずか一年でおしまいと成った次第。


なおその情報をもってなお入社した人は何人かいて、彼らはなんだかんだと言って続いている。
よく聞けば、彼らは会社で仲がいい人をつくって幻想郷の真実に触れたようだ。
だから入社できたのかもしれないし、それはあまりフェアじゃないと判断されたのだと思われる。


いずれにせよインターンシップは人を安くこき使うための口実であってはならないし、
それを適用するところは概ね滅びたほうが良いというのは一応同意することにする。