□月 ●日  No1844 高次元生物への第一歩


銀河の外れにある辺鄙な恒星 現地人が「太陽」と呼んでいるそのまわりを回っているこれまた
辺鄙な惑星「地球」とさらにそれまたそのまわりを回っている辺鄙な星「月」そこには
サルの子孫とその姿をまねた高次元生物が住んでいる。


このサルの子孫は奇妙な術で自らの寿命をのばそうとしていた。のばすと言っても、シャープペンの
先端部の長さが、先端部がちょうど折れるくらいに伸びた程度の長さに過ぎないが。
ともあれ、このサルの子孫は無駄な工程97%を経てようやく当面の若さと比較的長い寿命を手に入れた。


しかし所詮はサルの子孫である。せっかく手に入れた寿命は墓場のような暗くてかび臭くて陰鬱な
空間で睡眠することに費やされた。これをみた観測者はとても頭の悪い行為として、所詮はサルの子孫で
あるとして、銀河愚かな人1000選に数えることになった。
それも昔の話。


態度のでかい、自称仙人の行動を見守る簡単なお仕事。
まずは何かを喰わせないといけないと言う話になり、何か無いかと言われたから
おやつにとっておいたお菓子をあげることにした。
とりあえず甘い物を与えれば大人しくなるし行動も制約されないだろうと言うことで
胃薬の代わりに持ち歩いているチョコ片を与えたらやたら幸せそうな顔をしていた。


頭の回転が速くなったのか法術とやらに冴えが戻っているらしい。
そいつは結構なことだ。こっちが復活させるのに行った作業を肩代わりしてくれるらしい。
が、こいつの場合は肉体が戻らなかった。
今時、肉体が戻ろうと戻るまいと関係のない話だ。 第一また肉体が戻ったらこの高コストの装置を
また使うしか無くなるわけだ。 そういう意味では面倒だ。


本人も肉体が戻らなくて大正解だと言っていた。戻ったら戻ったで問題を起こすとこの自称仙人は
言っているが、たぶんその問題は別の問題なんだろうと思った。顕界基準でも美人だったからだ。
その後、生前はひどいセクハラを受けまくったと言っていたからさもありなんと言ったところか。
まあ、男色もOKな世界だったわけだから性にフリーダムな部分はそれほど問題にならないと思う。


これが所謂高次元生物への一歩なのだと綿月依姫に言われたが、こっちはあまり理解したくない
事実である。