□月 ●日  No1864 後見人なしの悲惨


聖徳王たちの目論見通り、やつらは一応幻想郷に降臨した。
まあ、それで連中の奇跡が幻想郷を支配する なんてことはなく。
数日後には、仙人もどきが泣きついてきた。 何も物資が手に入らないのだ。


説明しよう。
彼女が生きた時代には貨幣経済が完全に機能していなかったのだ。
彼らにとって経済とは物々交換のことである。
しかも自分の持っている物がどれだけの価値があるのかを理解していなかった。
持っていた物は不当に安く買いたたかれて、市中に出回っている。
気がついた代物とかは確保しているのだが、それにしたって悲惨すぎる。


反物の多くは風化しているため、彼女たちは品質の低い翡翠などをお金にするしかない。
当時はとても高価な物でも鋳造技術などの問題でこの幻想郷では低評価となる。
顕界だったら多分もう少しマシな結論になっているのだろう。


さらに幻想郷は実は高度な為替経済が機能している。 重量物である貨幣は
有価証券になってある程度住所が規定されていないと手に入れることすら困難だ。
かくして、彼女たちはせっかく復活してもまともに生活できない状態になった。


一応、食い物がなくても生きることはできる。しかし、おなかは減るのだ。
この点は実のところ、「蓬莱の薬」と変わらない。
そのため泥団子を食べるレベルまで困窮するのは時間の問題である。
法術で何とかしろと言いたくなるが、その手の物は近代法術という奴だそうで
連中のノウハウではどうにもならないのである。


結局どうなったかというと、なんと大師様のところで施しを受けた物を貰っている
有様である。 しかも本人はその意味をまるで理解していない。
大師様がやっている所謂ボランティアで配られている飯を貰っていたのだから。
実は、魔王だと思っている人から施しを貰っているなんて口が裂けても言えなかった。


さすがに悲惨すぎるので法界の整備を行っている。
多少未完成でも奴らを入れて、とにかく住所をつくる。
住所さえ作ればなんとか為替を手に入れることが出来る。
多少はこちらでも支援できるようになる。


それでも、うまくいくとは思えないので、我々は一人の刺客を送り込むことにした。
そう、「二ッ岩 マミゾウ」だ。彼女なら経済的後見人になれる。