□月 ●日  No1871 Mじゃないから


比那名居の娘について言いたいことがある。
彼女は断じてM女ではない。あるとすれば不屈の精神と言う奴があるだけだろう。
それでもM女と言われるのは、同じことを何度も繰り返そうとするからである。
という話を本人から聞いたのだが、いまいち眉唾に聞こえるのは多分気のせいである。


彼女は根本的に時間の流れにずれがある。これは月面人にも言えることなのだが
本人は色々なことをしているつもりでも全体的には一つの流れなんてことが
しばしば発生する。周囲にはまだやっていないの?と思われるが彼女の時間感覚だと
それが標準なんてことがしばしばある。


実はこれ、後天的に長寿命を獲得した人にありがちな現象。
この時間感覚のずれを改善するために先人は結構苦労しているのだ。
彼女の場合は幼少期に長寿命を獲得してしまったため、このような問題に悩まされている。
これがある程度年齢を重ねた状態。たとえばメトセラ娘とか、時間に関してほぼ
悟った状態の大師様とかになるとこの問題はほぼ解消される。


月面人になるとそれらの問題はあらかた噴出しつくして問題にすらならない。
かくして、時間問題は比那名居の娘にのみ集約された問題となっている。
本人は色々なことをしているつもりだが、同じことをして同じ結果に至るのは
概ねこのような問題があるからだ。彼女には時間があるから結論を出すのにも
時間が掛かるのである。


だから彼女は断じてMじゃない。痛いものは痛いし、駄目なものは駄目だ。
どうしてM女としてばらまかれているか、現在調査中だが
まあ、殴られてもまた立ち上がっていれば、そう思われても仕方ないのかもしれない。
せめてパンチドランカーとか良い言葉もあるだろうにと思うと切ないものである。