□月 ●日  No1874 夢の機械


綿月姉妹が学習装置なる素敵そうな物体を持ってきて物議を醸し出す。
ヘルメットにコードがついた代物で、その先にはトランクサイズのコンピューターがついている。
人が夢にまで見た睡眠学習装置とのことだが、脳を休ませたり、記憶を定着したりすることが
すっぽり抜け落ちたかつての睡眠学習装置とは似て非なる物らしい。


これで、3馬鹿達に読み書きを学ばせようというのが今回の話題。
古代の文字ならそれなりに読み書きできるが、現状では妖精たちと一緒のクラスに入れないと
駄目という有様なので仕方ない。


とりあえず灼熱妖怪に試してみようかと考え、地霊殿の主人に連絡しようとしたところを
魂魄に止められた。睡眠学習装置が旨く働いているなら、月兎は今頃きちんとした兵隊になっている
というのがその根拠だ。 とりあえず無言で頷いた。


睡眠学習装置をくまなくチェック。箱はあまり綺麗ではなく長年倉庫にでも収まっていたのか
下の方がやや黒ずんでいる。開封して、取扱説明書をチェックするが古代文字過ぎて読めない。
一体いつの代物だよと尋ねたら、遙か昔に薬屋が開発して使い方がよく分からないので放置していたと
言われた。薬屋が居る今なら使えると思ったらしい。


横から、聖徳王が中身を一瞥。あー と一言発した後、現代語訳に直してくれた。
綿月姉妹から驚嘆の声が漏れる。だが、これは古代文字は古代文字かもしれないが、
月面人の文字だ。なんか色々嫌な予感がしてきた。
大体短期間の間に尸解仙の術が完成すること自体がおかしいのだ。
それが仮に仙人もどきがもたらした物であっても。


綿月姉妹はそれがどういう問題を及ぼすのか分かっていないようだが
聖徳王はこの機械が使い物にならないと断じた。
薬屋が作った物だから使えるのではと食い下がる綿月姉妹に、これが完成していたら
兎どもはもっと頭が良いだろうと返したら、「あー」と言われた。


「あー」じゃねえよ。