□月 ●日  No1880 魂斗羅


太平洋のとある場所 海底100メートル。オハイオ級原子力潜水艦
普段は戦術核を搭載するこの艦にはもう一つの弾頭が存在する。
「MIMI」と名付けられたこの弾頭は射程距離8000キロメートル。
中にはとあるモノが仕込まれていた。
ICBMでありながら強力な人工知能を持つというMIMIの目標は道路を走るトラック。
そこにはとあるテロリスト達が乗り込んでいるという。


「メインタンクブロー 海上へ出ます。」
「本艦はMを発車後に再び沈降する。発射口開け。」


発射される弾頭は計24発 うち本命は一発のみである。
一発のみが大気圏を離脱し、再び突入。 高度2000メートルまで落下後にあるものを切り離す。
ミサイルの中は強大なGがかかる。普通ならこの弾頭には世にも恐ろしい戦術核が眠っているが
今回は違った。


切り離されたのは一つの人影。
ミサイルと同じ早さで併走 ふつうなら衝撃波で血しぶきとなってもおかしくない中
ミサイルを掴み一路目的地へと急降下する。


そのトラックからは空から何かが降ってきているように見えるだろう。
視認したときにはもはやスティンガーミサイルがロックオンする暇すら与えなかった。
落下しているモノを標準するのは基本的に難しいのだ。
そして、実のところミサイルはトラックに向かい弧を描くように飛行している。


ミサイルが、トラックの横を通り過ぎたように見えた 瞬間。
トラックは宙に舞い上がっていた。 ミサイルが発生させる衝撃波が数トン有るトラックを軽々と
持ち上げた。運転手は二人とも何が起こったのか分かることなくあの世へと旅立ってしまった。


ミサイルの前をもう一つのミサイルが急接近する。
前方護衛車両が放ったスティンガーであった。すでに真っ二つとなって後方へと落下していた。



「くそったれが、無茶しやがる」
魂魄は毒付いた。トラックは完全に逆さとなって地面に転がっていた。
中から人のうめき声が聞こえる。荷台にいた人間なのだろうが、その人物もそう長くないだろう。
「こちら魂魄、あっけなく終わったぜ。」
「目的は達成したわ、あとは暴徒達が勝手に片付けてくれるでしょう。MIMIと一緒に引き上げなさい。」
「へいへい、おいMIMI引き上げるぞ。」


「MIMI」とは妖怪や半霊を弾頭に仕込み標的を強襲するシステムである。